其の弐佰弐拾 無限列車編17 ページ20
ふぅーと桜は息を吐き出す。
これが、無限列車を乗っ取っていた鬼の正体だというのだろうか。
この程度の鬼に鬼殺隊の隊員が犠牲になるはずはない。
那田蜘蛛山の鬼のように知識があるわけでも、異能があったわけでもない。
どこかにまだ隠れているのだろうか。
桜が考えを巡らせていると貫通扉が壊れるかと思うような勢いで開かれた。
遠巻きに恐る恐る覗いて戦いの様子を見ていた乗客がまた座席の下に潜り隠れ、桜は振り向きざまに日輪刀の柄を握った。
「……………………」
そこには血相を変え慌てた様子の杏寿郎が立っていた。
桜は相手が鬼でないことにホッと息を吐き、柄から手を離した。
「煉獄さん、この車両の鬼は倒…………っ」
報告をする桜の元に杏寿郎はツカツカと歩み寄ると、自分のほうへと引き寄せ抱き締めた。
無事だとは信じていたが安堵から抱き締める腕につい力が入ると、驚いた桜が身を固くするのが伝わってきた。
「急にいなくなったので心配したぞ」
「す、すみません。ご心配をおかけして。この方向に鬼の気配を感じたので………」
だから余計に心配していた。
どこかに隊員数名を葬った鬼が潜んでいるのだと思うと桜も同じ目にあってやしないかと肝を冷やした。
桜が目の前から消えたとわかった時は、一瞬頭が真っ白になってしまっていた。
「あ、でももう倒したので安心してください」
実際は取り越し苦労で、鬼を撃破した頼もしい姿を見せてくれたわけだが。
勇敢で行動が早いことはいいことなのだが心配が尽きない。
今日まで義勇はこんな思いで毎日過ごしてきたのかと、杏寿郎はある意味で義勇のことを尊敬した。
この任務についた連絡をもらった今も、義勇はきっとやきもきしながら桜の帰りを待っているんだろう。
家の前か家の中で熊のように行ったり来たり徘徊する義勇の姿を思い浮かべ杏寿郎は苦笑した。
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桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» だいぶ放置ですみません!国家資格目指してるんですね。すごいです!私も陰ながら応援しています。もう、あまり需要もないかとは思いますが私はまだまだ鬼滅の刃が好きなのでボチボ頑張って更新していこうと思います。お時間あれば、また遊びにきてくださいね。 (2022年1月10日 11時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 資格取ろうと思っているんだな!俺も国家資格を取ろうと思っている!お互い!勉強!集中!煉獄杏寿郎だ! (2021年10月31日 20時) (レス) @page50 id: e9e5935c56 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» レスと更新が遅くなって申し訳ありません(T ^ T)しばらくこのような状態が続くと思われます。忘れた頃に更新かもしれませんが、引き続き彼らの応援よろしくお願いします( ^∀^) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 煉獄さん!頑張れ!俺、煉獄さんを応援します!煉獄さんは強い‥!俺は弱者じゃない!夢主さんもだ!勝手に決めつけるな!猗窩座…!!お前を絶対許さない!竈門炭治郎です!煉獄さん、夢主さん!頑張って下さい! (2021年10月10日 19時) (レス) @page46 id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 全て言ってしまうとネタバレになってしまうので、あらかた伏せてになるのですが……^^;柱救済で物語を展開していきますので現役引退はありません!とだけ(^-^) (2021年10月4日 21時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2021年9月19日 10時