其の弐佰参拾陸 無限列車編33 ページ36
列車の外に出ると酷い有り様だった。
杏寿郎の言うように先頭のほうは横転し車両同士が絡み合うように重なりあっている。
被害はかなり大きそうだ。
炭治郎たちもこの中に巻き込まれていなければいいけど。
桜は静まり返ったこの場をゆっくりと見回す。
「っ!?」
そして、ハッと弾かれたように走り出した。
違う方向を向いていた杏寿郎は、急に走り出した桜を不思議に思いその名を呼ぶ。
「桜!?」
「あそこに炭治郎くんが!」
顔だけ振り返りながら走り続ける桜が向かう先に杏寿郎も、視線を向けると横たわった炭治郎の姿が見え、ただ事ではないと急いで桜の後を追いかけた。
ピクリとも動かない炭治郎に桜の不安が募る。
まさか、死んだりしてないよね?
「炭治郎くん!!」
「竈門少年!!」
桜と杏寿郎は、目を閉じている炭治郎の体のすぐ隣に膝をついた。
胸が小さく上下している。
呼吸をしていることにホッとした。
だが、全身を確認すると腹部に刺創を見つけてしまった。
「怪我を……」
「全集中の常中ができるようだな。傷口からの出血がだいぶ抑えられている」
蝶屋敷での努力がその成果をもたらしてくれているようだ。
だけどこの傷、傷口が細くて先が鋭くとがった鋭利な刃物のようなもので刺されたようなのが気になる。
「桜の能力で治せるか?」
「私の治癒は表面の傷を元に戻すだけなので、傷の深さがわからないことにはなんとも………。この出血の仕方だと内臓近くまで達している可能性はありますので完治は難しいと思います」
それに、傷が深い場合、破れた血管からの出血を止めなければ体の中で血が溜まってしまい逆に危険になる。
そうなると、まずは呼吸法を使って根元の止血をしてもらわなければならなかった。
「炭治郎くん、私の声が聞こえますか?」
「桜さん?………煉獄さん?」
炭治郎がうっすらと目を開けた。
意識もしっかりとあることに桜は胸を撫で下ろす。
「体を休めているところ、すみません。治癒をしたいのですが、傷が深いとまずその部分の止血が必要なんです」
「体も限界だろうが、もっと集中して呼吸の制度を上げるんだ。体の隅々まで神経を行き渡らせろ」
「できますか?」
「やってみます………!」
炭治郎が腹部に力を込めるように呼吸を繰り返し始めた。
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桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» だいぶ放置ですみません!国家資格目指してるんですね。すごいです!私も陰ながら応援しています。もう、あまり需要もないかとは思いますが私はまだまだ鬼滅の刃が好きなのでボチボ頑張って更新していこうと思います。お時間あれば、また遊びにきてくださいね。 (2022年1月10日 11時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 資格取ろうと思っているんだな!俺も国家資格を取ろうと思っている!お互い!勉強!集中!煉獄杏寿郎だ! (2021年10月31日 20時) (レス) @page50 id: e9e5935c56 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» レスと更新が遅くなって申し訳ありません(T ^ T)しばらくこのような状態が続くと思われます。忘れた頃に更新かもしれませんが、引き続き彼らの応援よろしくお願いします( ^∀^) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 煉獄さん!頑張れ!俺、煉獄さんを応援します!煉獄さんは強い‥!俺は弱者じゃない!夢主さんもだ!勝手に決めつけるな!猗窩座…!!お前を絶対許さない!竈門炭治郎です!煉獄さん、夢主さん!頑張って下さい! (2021年10月10日 19時) (レス) @page46 id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 全て言ってしまうとネタバレになってしまうので、あらかた伏せてになるのですが……^^;柱救済で物語を展開していきますので現役引退はありません!とだけ(^-^) (2021年10月4日 21時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2021年9月19日 10時