其の弐佰参拾壱 無限列車編28 ページ31
何が起きているのかわからない状況の中、これからお互い別々に動く。
近くにいて守ってやれればと思うのに、そんな余裕はなさそうだ。
杏寿郎にとってまさに今生の別れのようだった。
「お館様と胡蝶に君を守ると約束したが、傍にいてやれなくてすまない」
杏寿郎にしては声が小さめではあったが、普段の声量が大きいだけに桜の耳にはしっかりと届いていた。
そういえば、耀哉の屋敷でそんなやり取りがあったなと桜は思い出す。
律儀な性格の杏寿郎だから、気に掛けてくれているに違いないと桜は目尻を下げて笑んだ。
「煉獄さん、約束のことなら大丈夫です。(血鬼術は間抜けだったけど………)これでも水柱の継子ですから!!それに、煉獄さんが心配していると思うと私も煉獄さんのことが気がかりになって集中できません」
「そうだな」
苦笑しながら杏寿郎は思う。
本当は約束などどうでもいい。
男として桜の傍にいたかっただけなのだと。
「桜、油断はするな」
「はい!」
君になにかあったら俺はーー
「煉獄さんも油断禁物ですよ。では、いってきます!」
桜はそう言い残し姿を消した。
その桜に反応したのか、再び増殖を始めた触手に向けて杏寿郎は不敵な笑みを浮かべる。
「この先、一歩たりとも行かせん!」
杏寿郎はその場の触手に斬撃を与えながら、桜とは反対の車両へと移動を開始した。
桜は杏寿郎に言われた通り、最後尾二両を守っていた。
夢の中にまだ自分は捕らわれているのかと錯覚しそうなくらい、この騒ぎでも座席に座る乗客は誰も起きない。
おまけに斬っても斬っても、触手はすぐに再生するので、きりがない。
だけど弱音は絶対に吐かない。
杏寿郎は桜を信じ二車両も託したのだから、その期待に応えたい。
炭治郎たちもきっと生きてる。
離れていても共に戦っているはずだ。
私も頑張ったんだからと胸を張って帰りたいから。
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桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» だいぶ放置ですみません!国家資格目指してるんですね。すごいです!私も陰ながら応援しています。もう、あまり需要もないかとは思いますが私はまだまだ鬼滅の刃が好きなのでボチボ頑張って更新していこうと思います。お時間あれば、また遊びにきてくださいね。 (2022年1月10日 11時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 資格取ろうと思っているんだな!俺も国家資格を取ろうと思っている!お互い!勉強!集中!煉獄杏寿郎だ! (2021年10月31日 20時) (レス) @page50 id: e9e5935c56 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» レスと更新が遅くなって申し訳ありません(T ^ T)しばらくこのような状態が続くと思われます。忘れた頃に更新かもしれませんが、引き続き彼らの応援よろしくお願いします( ^∀^) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 煉獄さん!頑張れ!俺、煉獄さんを応援します!煉獄さんは強い‥!俺は弱者じゃない!夢主さんもだ!勝手に決めつけるな!猗窩座…!!お前を絶対許さない!竈門炭治郎です!煉獄さん、夢主さん!頑張って下さい! (2021年10月10日 19時) (レス) @page46 id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 全て言ってしまうとネタバレになってしまうので、あらかた伏せてになるのですが……^^;柱救済で物語を展開していきますので現役引退はありません!とだけ(^-^) (2021年10月4日 21時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2021年9月19日 10時