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同じ病院、同じ幼稚園、同じ小学校。
彼女と僕はいつも一緒にいた。
「はーい、プリントを後ろに回してね〜」
小学校1年生になり、担任の教師が子供たちにプリントを配る。
彼女の苗字は深谷。僕は降谷。彼女の後ろの席は、僕なのだ。
彼女はいつもプリントを後ろに回す時、上体ごと後ろを向いてプリントを渡してくれる。
「はい」とにこやかに笑っていいながら。
でもちょっぴり跳ねっ返りな僕は、素直に「ありがとう」とは言えずに、「うん」としか言えなかった。
素直になれない僕に、彼女はなんてことのないように接してくれる。
そんな彼女が大切で、大好きで。
ずっと混んな間柄が続けばいいと思っていた。
なのに。
「れい、少し話があるんだ」
彼女は切なげに笑って言った。
僕は、彼女が怒ったところを、彼女が泣いた所を、1度も見たことがなかった。
だからなのか、何なのかはわからなかったけれど、どうしようもなく胸騒ぎがした。
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作者名:棗 | 作成日時:2019年12月7日 23時