◎まっしろな ページ7
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「うはー!雪だ!雪!」
朝起きてカーテンを開けると、
目の前に真っ白な景色が広がった。
周りの建物や地面に積もる雪の白が、起きたばかりの目に眩しい。
昨日天気予報で降るとは言ってたけど、まさかここまでとは。なんて久しぶりに見た雪景色に少し感動しながら、俺は後ろを振り返った。
「A!雪だよ!めっちゃ積もってる!!」
どうにかこの感動を伝えたくて、必死に呼びかける。でも、ベッドの上のこんもりとした塊は動く気配がない。みたい。
「A〜…起きてよう」
得意の猫撫で声を出しながら、ベッドへと近づいていく。すると、さっきまでぴくりとも動かなかった塊がもぞもぞと動き始めた。
「…ん〜……なに…」
寝起きの少し掠れた声に、
全然開いてない目。
はぁ、もう可愛い。
「雪!外見て!」
布団を被ったままのその身体を布団ごと揺らして、外を指差す。細めた目でそちらに視線をやると、彼女は思い出したように「あぁ、」と小さく呟いた。
「そういえば、降るって言ってたね」
「えっ、それだけ!?」
「…それだけ?ってなに」
「いや、なんかこうもっと喜ぶとかさ…」
もっと、
「わぁ、ほんとだ!」とか
「すごーい!」とか
そういうのを期待してたんだけど。
「…雪で喜ぶのなんか、小学生まででしょ」
彼女から返ってきたのは、なんとも冷めた答えだった。
…悪かったな、小学生以下で。
「そんなこと言ってないでほら!ベランダ出てみようよ!」
「…えー…やだ。寒いもん」
俺が腕を引っ張れば、
彼女は頑なに布団の中に留まろうともがく。
でも石川祐希、今日は諦めません。
だって一緒に雪だるまとか作りたい!
「さむいねー」とか言いながら雪で遊んで、Aの冷えた体を俺が暖めてあげちゃったりして。
…とかいう、ちょっとした夢。
その念が通じたのか
はたまたしつこい俺に痺れを切らしただけなのか。
彼女は小さく溜息を漏らして、徐に布団を剥いだ。
「…ちょっとだけだからね」
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ぷーこ(プロフ) - あきさん» すみません、もし教えていただけるようでしたらどの作品か教えていただけると幸いです。 (2016年8月9日 18時) (レス) id: 0bb9c9012b (このIDを非表示/違反報告)
ぷーこ(プロフ) - あきさん» わざわざ コメントありがとうございます。それはそちらの作品と私の作品どちらが先に書かれたものでしょうか?お手数をおかけしますが教えていただけると嬉しいです。すみません。 (2016年8月9日 18時) (レス) id: 0bb9c9012b (このIDを非表示/違反報告)
あき - はじめまして、コメント失礼します。とある作品を読んでいたところ、この作品のあるお話と酷似しているものを見つけまして、一応ご報告をと思いコメントさせて頂きました。 (2016年8月9日 8時) (レス) id: 7970285b3f (このIDを非表示/違反報告)
ぬんぬん♪ - えっ終わり!?嘘やろ!?!? (2016年6月11日 0時) (レス) id: f5deb9fb59 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 完結……したのですか? 楽しみに見させていただいてたので残念です…… (2016年5月22日 23時) (レス) id: 191aa71f46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷーこ | 作成日時:2016年1月5日 20時