story39 ページ39
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「…っごめんね」
散々祐希くんの胸で泣かせてもらったおかげで少し落ち着いてきた私は、とん、と祐希くんを押し返した。
毎回毎回マサのことで何かある度に迷惑かけっぱなしで、いつもこうやって慰めてくれて。
彼は「頼れ」と言うけれど、
もうこれ以上、彼に迷惑はかけられない。
「…ごめん、もう、へいき。」
震える声に気づかれないように、
まだ私の肩に触れていた手をやんわりと外した。
「……Aちゃん」
名前を呼ばれたのと同時に、外したはずの温かい手が私の髪をするりと滑って、優しく頬を撫でる。
その温もりに思わず顔を上げると、
泣きそうに顔を歪めた祐希くんがいた。
「…なんで?」
「……」
「なんで、強がるの?」
……なんで?
聞きたいのは、こっちだよ。
なんで祐希くんは、いつもそうなの?
私が泣いているとき、
なんでいつも私の傍に寄り添って
そうやって、私よりも辛そうな顔をするの?
「頼れって…言ってるのに
どうして我慢しようとするの?」
「……っ」
「俺じゃだめ?そんなに頼りない?
俺じゃ…Aちゃんを笑顔にできない?」
まくし立てるように問われて、
言葉に詰まる。
…そんなことない。頼りなくなんかない。
だってこの1ヶ月、私は彼のおかげで、笑ってられたんだから。
でも、
「…迷惑、かけたくない」
「迷惑なんか、」
「っなんで祐希くんは…っ そんなに私に優しくするの…!?」
わかんないよ。
出会ってからまだそんなに経ってないのに、そこまで私に優しくする理由は何?
ただの同情?
俯いていた顔を上げてもう一度彼を見つめ返すと、
彼は大きく目を見開いて、
やがて静かに伏せた。
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「…好き、だから」
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ぷーこ(プロフ) - ルカさん» いえいえ!ありがとうございました!後ほど変えさせていただきます! (2019年10月14日 16時) (レス) id: acc82473cf (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - なら、そうなんですね!すいません! (2019年10月14日 16時) (レス) id: 1f76d21934 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーこ(プロフ) - ルカさん» すみません、4年前の作品なので番号も当時のものになっております。わざわざありがとうごさいます! (2019年10月14日 16時) (レス) id: acc82473cf (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 柳田くんはあってるけど石川くんは#14ですよ (2019年10月14日 16時) (レス) id: 1f76d21934 (このIDを非表示/違反報告)
こすも(プロフ) - ずっと更新待ってました!!! パスワードできたら教えてくださいm(_ _)m (2016年8月27日 1時) (レス) id: 313d33003e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷーこ | 作成日時:2015年11月11日 1時