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将洋side
「……………は?」
言葉の意味が、理解できなかった。
「なにが、なんて
そんな野暮なこと聞かないでよ?」
『将洋もだよね?』
「…Aちゃんのこと、好きなんでしょ?」
絶えず俺の身体の上を動いていた人差し指が、静かに胸を突いた。
ぐ、とそこに力が込められて
同時に射抜くような視線が突き刺さる。
「…な、に言って」
「あれ?もしかして気づいてないの?」
俺が、
Aを好き?
違う。
…違う。
Aは……
「将洋は、Aちゃんのことが好きなんだよ」
_______________祐希と同じ、
だ。
「…まぁ、Aちゃんのとこになんか行かせないけど…ね」
何もかも、俺を知り尽くしているような。
俺の知らない俺まで見据えているような、そんな瞳。
「…………やめろ、」
「え?」
「やめろよ…っ」
するり、と
俺の胸から滑り落ちた華奢な手首を掴んで、そのまま後ろに押し倒した。
Aよりも細い、これ以上少しでも力を入れたら折れてしまいそうな、彼女の手首。
「ちょ…っと、なに、」
「…抱いて欲しくて、呼んだんだろ?」
「んっ…!ま、さひろっ……」
もう、
「…抱いてやるよ。
だから、……黙ってろ」
多分とっくに気づいていたんだ。
どことなくAに似ている彼女に、
Aを重ねていたことくらい。
彼女が笑えば、Aの笑顔を思い浮かべて
彼女が泣けば、Aの泣き顔を思い浮かべてた。
この時だって、
Aと似たその厚い唇が、
『将洋』じゃなくて、
『マサ』と動けばいいのにって
そんな馬鹿みたいなことを考えていたのに、
「将洋…っ、んっ、だめだよ…
離れていかないで……こっち、みて…」
「………っ、クソ…っ」
…それなのに。
『こっち、みて』
聞き覚えのあるそのセリフに、
俺は気づかない「フリ」をした。
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ぷーこ(プロフ) - ルカさん» いえいえ!ありがとうございました!後ほど変えさせていただきます! (2019年10月14日 16時) (レス) id: acc82473cf (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - なら、そうなんですね!すいません! (2019年10月14日 16時) (レス) id: 1f76d21934 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーこ(プロフ) - ルカさん» すみません、4年前の作品なので番号も当時のものになっております。わざわざありがとうごさいます! (2019年10月14日 16時) (レス) id: acc82473cf (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 柳田くんはあってるけど石川くんは#14ですよ (2019年10月14日 16時) (レス) id: 1f76d21934 (このIDを非表示/違反報告)
こすも(プロフ) - ずっと更新待ってました!!! パスワードできたら教えてくださいm(_ _)m (2016年8月27日 1時) (レス) id: 313d33003e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷーこ | 作成日時:2015年11月11日 1時