story20 ページ20
.
「Aちゃん!!」
後ろで私の名前を呼ぶ声がして、
その声に振り返ってみれば
そこには息を切らした祐希くんがいた。
「ゆ、うきく…」
「転んだの!?血、出てるじゃん、
洗いに行かないと…立てる?」
私を心配そうに覗き込む祐希くんの優しい声に、さらに涙が溢れ出す。
それと同時に、捻った足首が熱を持ち始めた。
「〜っう、うぇ…っ 足、いたい…」
小さい子のように泣き始めた私を見て、祐希くんが驚いた顔をする。
でも、
“止まって”と思うほどに、涙は溢れ出してきて。
「…っ、Aちゃん…」
泣きじゃくる私の背中を彼が優しくさすってくれる。
ゆっくり、ゆっくり
大きな手が上下に動く度に、少しずつ呼吸が落ち着いてきた。
「…少しは、落ち着いた?」
「っ、う、ごめ…祐希く…」
祐希くんの言葉になんとか頷くと、
彼はくるりと体を反転させて、大きな背中を私へと向けた。
「とりあえず、乗って?」
「え…」
「歩けないでしょ?」
そう言って笑う彼に、胸がぎゅうっと痛くなる。
でもそれは、さっきの痛みとはまた違うもので。
「…あ、りがと」
「ん。」
おそるおそる彼の首に手を回して背中に体を預けると、すぐにひょい、と持ち上げられる。
練習の後なのに、歩き出した彼からはふわりと甘い香りがした。
900人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷーこ(プロフ) - ルカさん» いえいえ!ありがとうございました!後ほど変えさせていただきます! (2019年10月14日 16時) (レス) id: acc82473cf (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - なら、そうなんですね!すいません! (2019年10月14日 16時) (レス) id: 1f76d21934 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーこ(プロフ) - ルカさん» すみません、4年前の作品なので番号も当時のものになっております。わざわざありがとうごさいます! (2019年10月14日 16時) (レス) id: acc82473cf (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - 柳田くんはあってるけど石川くんは#14ですよ (2019年10月14日 16時) (レス) id: 1f76d21934 (このIDを非表示/違反報告)
こすも(プロフ) - ずっと更新待ってました!!! パスワードできたら教えてくださいm(_ _)m (2016年8月27日 1時) (レス) id: 313d33003e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぷーこ | 作成日時:2015年11月11日 1時