Smile Again【3】 (ページ27)

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Episode：123 ページ27

Side：北斗

初めての登校日。

慣れるまでは、姉ちゃんが学校まで送迎してくれることになった。

「今日からよろしく。」

「よろしくお願いします。」

担任の阿部先生が校門の前で待っててくれた。

「前も説明したけど、北斗の教室はここな。」

教室には机がふたつ。

ふたつ？

「このクラスの生徒は、北斗ともう一人だけだよ。」

俺みたいな肢体不自由の生徒はあまりいないって言ってたっけ。

「あれ？まだ来てないか。」

もうすぐ始業の時間なのに、そのもう１人はまだ来ていないみたいだった。

“やべー！！遅刻っ！！”

廊下から聞こえるデカイ声…。

「阿部ちゃん、聞いてよ！」

その声の持ち主は、教室に入ってくるなり、そう言った。

「慎太郎、まずは挨拶だろ？」

「おはようございます！でさ、聞いてよ！」

「なにが？」

「俺が遅刻した理由！」

「で、遅刻した理由はなんですか？」

「それがさ、全っ然カテーテル入んなくて、そんで気付いたら、バスの時間だった！」

慎太郎と呼ばれた少年は、がっしりした上半身とは対照的に下半身はすごく細かった。

生まれつき…？

それとも、俺みたいに事故で…？

「うるさくて、ごめんな？」

「大丈夫…です…。」

慎太郎は、たぶん俺のこと見えてないと思う…。

「おっ！転校生じゃん！」

やっと気づいたかんじ？

「俺、森本慎太郎、よろしくな。」

「よ、よろしく…。」

結構、グイグイくるの？

「慎太郎、北斗が圧倒されてるから、もう少し静かに出来ない？」

「北斗っていうの？」

「うん、北斗。原石北斗です…。」

とりあえず、自己紹介。

「ねぇ、阿部ちゃん！」

俺の話、聞いてたかな？

「俺、一応先生なんだけど…？」

「せんせーい！今日の一時間目はさ、ホームルームにしようよ！」

「なんで？」

「新しい仲間増えたし、自己紹介とかさ、そーゆーのやろうよ！」

「そうだな、そうしよう。」

慎太郎の提案で、１時間目は予定を変更して、ホームルームになった。

「俺はね、２歳の時に事故に遭って…あ、じーちゃんの車に乗ってたんだけど、居眠り運転の車が突っ込んで来たんだってさ。」

まずは慎太郎が自分の話をしてくれた。

「その事故で胸椎が折れて、へそから下の感覚はないんだよね。まぁ、２歳なんて記憶にないからさ、その時どうだったとかは、全く覚えてないんだけどね。」

「そう…なんだ。」

「北斗は？」

「俺…？俺は……」

言わなきゃって思っても、言葉が出て来なかった…。