Smile Again【2】 (ページ16)

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Episode：64 ページ16

数日後。

北斗の担任の先生から、卒業証書を持っていくと連絡があった。

「北斗、担任の先生が来てくれるって。ちょっとくらい顔見せたら？」

「・・・・・。」

また無視…。

ここ最近、わかったことがある。

北斗が目を合わさない時の答えは、“ＮＯ”だ。

これ以上、同じことを言ったら、きっと北斗は泣く。

北斗の心も、樹と同じくらい不安定。

ここ最近、些細なことでも泣いたりするようになった。

「じゃあ、会わなくていいよ。」

きっと北斗は、今の自分を見られたくないんだと思う。

無理やり会わせたところで、更に北斗を傷付けて、追い詰めるだけ。

数分後、時間通りに現れた先生に事情を説明して、病院内のカフェテリアに案内した。

「お忙しい中、せっかく来ていただいたのに、本人が会えなくてすみません。」

「大丈夫ですよ。こちらもいきなり来てしまったし、本当は卒業式のあと、すぐに来るべきだったんだけど、こんなギリギリになってしまって…。」

「気にしないでください。」

「北斗くんの調子はどうですか？」

「順調にリハビリをしてます。結構、キツイとは思うんですけど。本人は弱音も吐かずに頑張ってます。」

「北斗くんは頑張り屋さんですからね。入院は長くなりそうなのかしら？」

「一応、半年を予定しています。」

順調にリハビリが進んで、何もなければ半年くらいで退院できると思う。

「そう…。樹くんは大丈夫なのかしら？卒業式にも来てなかったみたいだけど…。」

「樹の問題は心の方なんです。今回の事故で、精神的にかなりやられてしまって…。今の樹は、1人にしておくことができないんです。」

「もうなんて声を掛ければいいのか、わからないんだけど…。ご家族の皆さんも大変でしょうから、身体壊さないようにしてください。今の北斗くん、樹くんにはお姉さんやお兄さんの支えが必要だと思うから…。」

先生は目に涙を浮かべながら、そう言ってくれた。

「ありがとうございます。」

自然とこの言葉が口をついた。

あの事故で、心を閉ざしていたのは、樹や北斗だけじゃなかった。

私自身も、他人に対して、気付かないうちに心を閉ざしていたんだ…。

「また、来てもいいかしら？」

「もちろんです。また来てください。今日はありがとうございました。」

“次は会えるといいですね、先生”

心の中で、そう呟いた。

「北斗くんのお姉さん！」

先生を病院の入り口まで送って、北斗の病室に戻ろうとしたところで声を掛けられた。