Smile Again (ページ44)

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Episode：43 ページ44

Side：樹

「俺、どうしたらいいんだろうね…？」

写真の中のパパとママは、いつもみたいに笑ってた。

“ねぇ、樹…”

「なぁに？」

“樹がつらい時、悲しい時、困った時、そんな時は、お姉ちゃんやお兄ちゃんが、必ず助けてくれるからね。”

「姉ちゃんも兄ちゃんも、オレを助けてなんてくれないよ！」

“どうして？”

「だって、いつも、樹は生意気で可愛くないって言うもん。２人とも、オレより北斗の方が好きなんだよ！」

“そんなことないわよ。樹だって大事な弟。お兄ちゃんもお姉ちゃんも樹のこと、大好きって思ってるよ。”

「思ってないよ！姉ちゃんも兄ちゃんもいらない！オレには、北斗だけいればいい！」

“樹は北斗と守る為に、強くなったけど、その樹が傷付いた時、誰が樹を守ってくれるの？”

「えっと…それは…」

“樹は強い子だけど、そうやって意地を張ってはダメよ。素直になりなさい、樹。”

「ママ…！待って！！」

自分の声で、目が覚めた。

「夢…？」

夢を見た。

リアルな夢だった。

当たり前か…

夢の中で、ママが言ってたのは、俺が小さい頃から何度もママが言ってくれた言葉だから。

なかなか素直になれない俺に、ママはいつも言ってくれた。

“素直になりなさい”って。

ママの言葉の意味が、ほんの少しだけ、わかったような気がした。

*

「ねぇA…。俺の話、聞いてくれる…？」

「いいよ。ちょっと待ってね。」

Aは片付けの手を止めて、俺の前に座った。

「どうしたの？」

「もうさ、どうしていいか、わかんない…。Aも優吾も大変なのに、俺は何も出来ないし、こんなわけのわかんない病気になって、一人になるのが、不安で…、また突然家族の誰かがいなくなるかもって思うと怖くて…。」

そう思うだけで、心が苦しくなる…。

「北斗の方が辛いはずなのに、アイツのこと守ってやらなきゃいけないのに、でも俺のせいだから、北斗に会えなくて…」

「樹…」

「ホントはさ、わかってるんだよ、腕切ったって、何も解決しないって。こんなことしちゃダメだって。わかってるのに、やめられなくて…そんな自分がホント嫌だ…。」

自分自身が、心底嫌いになる。

「俺…なんであの事故で死ななかったんだろ…？」

生きてる意味さえ、もうよくわかんない…

「樹の命は、パパとママが守ってくれたんだよ。」

パパとママが守ってくれた命…

Aや優吾、北斗を悲しませないために…

もう少しだけ…頑張ってみようと思った。