Smile Again (ページ39)

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Episode：38 ページ39

「じゃあ、辞めようと思ったけど、休職扱いにしてくれるってこと？」

「うん、そう。」

「で、北斗も診てくれるって？」

「そうだよ。」

優吾に職場での出来事を全て話した。

「マジ神じゃん、その人。」

「鉄仮面みたいな顔してるのにね。」

「それ、言いすぎだって。」

姉弟喧嘩なんて、こんなもの。

気付けば、いつの間にか仲直り。

「優吾も飲む？」

冷蔵庫から缶ビールを２本取り出す。

「当分いらねぇ。」

優吾がいらないと言った１本は、そのまま冷蔵庫に逆戻り。

「いつぶりだろ？」

「たまにはいいんじゃね？」

あの事故の日から、こんな風に飲むこともなくなった。

久しぶり過ぎて、最後に飲んだのがいつだったかなんて覚えてない。

「事故が無ければ、あの日もこうやって飲んでたかな？」

「親父のなっがーいワイン談義とか聞かされてたかもよ？」

「パパはワイン好きなのに、私達はワイン飲めないってゆーね。」

酔ったパパは必ずワインの話を聞かせてくれた。

でも私達はワインが飲めなくて、ビールかチューハイでお付き合いしてたっけ。

「親父はきっと、樹や北斗とも飲みたかっただろうな。」

「そうだね。」

ワイン好きのパパは、子ども達が生まれた年のワインを買って、その子がハタチになったら一緒に飲むんだって、口癖のように言ってた。

「優吾もパパと２人で飲みに行ったことある？」

「あるよ。ハタチになってすぐね。」

ウチでは何故かハタチになると、パパに飲みに誘われる。

好きなだけ飲んでいいって言われるから、どんどん飲んで…

「途中で記憶がなくなるんだろ？」

「それ。優吾もそうだった？」

途中から記憶がなくて、気付いたら、家にいるんだ。

「人生初めての二日酔いっしょ？」

「そうそう。最悪だったよ。好きなだけ飲め！なんて言ってさ。」

パパから、“Aはこれだけ飲んで潰れた”って教えてもらって…

それ以来、どこに行ってもその酒量は守るようにしてた。

「俺は、“お酒が合わない体質だから、気を付けろ”って言われた。」

「樹や北斗にも、お前の限界はここだ！って、教えてあげたかっただろうね。」

生まれた年のワインがあるくらいだから、きっとそうしたかったと思う。

「俺が教えてやるよ。」

「優吾？」

「お酒は無理だけど…、親父が出来なかったこと、俺が２人に教えてやるよ…。」

パパもママも樹や北斗が大人になる姿見たかったよね。

ちゃんと守るから、２人も天国から見守っててほしい…。