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Episode:02 ページ3

「傘、持って行った方がいいわよ。」

「え?なんで?」

「天気、崩れるみたいだから。雪になるかもって言ってたし。」

ママは心配性だから、今朝の天気予報を信じてる。

「雪?そんなん降るわけないって。めっちゃ晴れてるじゃん。」

外れてばかりの天気予報。

だから、今日もこのまま晴れ続けると思ってた。
雪なんて滅多に降らない地域だから、降るわけないって…。

「いいかA、人生は…」

出た!パパの口癖…。

「“何があるか、わからない”でしょ?」

小さい時から、何度も聞かされた言葉。
もう、耳にタコです…。

ちょっと心配性な母と、厳しいけど頼りになる父。

それが私の両親。

姉弟は、さっきの双子の他に弟がもう一人。

「今日って、優吾来るの?」

「もちろん、来るわよ。」

「今日の計画したのって、おにぃなんだって。」

「へぇー…珍しいこともあるんだね。」

優吾に会うの、いつぶりだろう?

大学3年生の優吾は1人暮らしを満喫中。

ここからでも通える大学だけど、“ギリギリまで寝てたい”とか言う理由で、大学に近くにアパートを借りた。

たまに帰ってくるけど、なかなか時間が合わなくて、しばらく会ってない気がする。

「ママー、優吾、何時に来んの?」

「聞いてないから、わからないわ。」

「樹、おにぃに電話してみたらいいじゃん?」

中学生になった頃から、樹は私や優吾のことを名前で呼ぶようになった。

理由は、恥ずかしいから。

でもさ、ママとパパは、未だにママとパパって呼ぶ。

そっちの方が恥ずかしいんじゃないの?

北斗はちゃんと、お父さん、お母さんって呼ぶようになったのに。

双子なのに似てるとこ、1個もないのが、うちの双子。


「優吾、出ねーし!」

樹は大袈裟にスマホをソファに投げた。

「バイトでもしてんでしょ?どうせ後で会うんだから、いいじゃん。」

「俺は早く優吾に会いたいって思ったの。わかる?」

そんなの全然わかりません。


「A、時間は大丈夫なの?」

「げっ…!やっば!ギリギリだ!」

ふと時計を見れば、家を出る予定の時間が過ぎていた。

「仕事終わったら、連絡頂戴ね。」

「わかってるよ!いってきまーす!」


パパがいて、ママがいて、弟たちがいる。

どんなにうるさくても、

ケンカをして、

叱られて、

お互いにムカついても、

“ただいま”

って言えば、みんながいる。


それが“当たり前”で、

その“当たり前”のことは…

ずっと…

ずっと続くと思ってた…。

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作者名:浅緋 | 作成日時:2021年7月21日 23時

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