Episode：10 ページ11
Side：北斗
ぼんやりと視界に入る真っ白い天井。
ここ…どこ…？
「原石さん、わかりますか、原石さん…」
視線だけであたりを確認する。
ここは…どこ…？
口の中に何か入っているのか、すごく苦しくて…
その何かを取ろうとしても手が動かない。
誰かを呼ぼうとして、声を出したいのに、うまく出せない…。
俺の身体…一体、どうなってんの？
*
「北斗…、北斗…わかる？」
姉ちゃん…？
「北斗、大丈夫か？」
おにぃも…？
２人ともなんでそんな顔してんの？
２人はすごい心配そうな顔で俺を覗き込んでた。
「北斗…お前、丸５日も眠り続けてたんだぞ。」
５日？
なんで俺が５日も？
「北斗、ここがどこだかわかる？」
見慣れない真っ白い天井と、耳に響く規則正しい電子音。
それから、点滴のバックが視界に入った。
ここは…
「びょ…いん？」
自分でもビックリするほど、掠れた声だった。
「そう病院。」
「な…んで…？」
病院？なんで、病院にいるんだろ？
「事故のこと覚えてないのかよ？」
事故？
俺、事故に遭ったの？
なんか変な感じがするのは、そのせい？
「北斗は事故に遭って、ケガして、で今入院してんだよ。」
おにぃの言葉に記憶を辿ってみた。
なんとなく思い出した。
俺と樹の合格祝いをするからって、いつもみたいにお父さんの車に乗って…
お父さんの車…？みんなは？
「お父…さんと、お母さ…ん…は…？」
みんなで一緒に車に乗った…はず…
なんでここにいないんだろ？
「あぁ、大丈夫。今はちょっと会えないけど。」
“樹、あぶない！！”
あの時、俺、樹のこと…
「じゅ、り…は…？」
「樹？樹はここにいるよ。」
樹の姿が視界に入った。
「北斗・・・。」
弱々しい声。
なんでそんな声出してんの？
「じゅり・・・。」
樹、ケガしてないね。
よかった…。
「おい、北斗！おい…！」
なんか…ぼんやりする…。
何かに吸い込まれるような、変なかんじ…
樹がなにか言ってる…。
でも、なにを言ってるのか、よくわかんない…。
「北斗、たくさん話して疲れただろ？もう少しだけ寝てろ…。」
「ん…。」
看護師さんが繋がってる点滴に別の液体を入れたのが見えた。
なんかフワフワする。
徐々に薄れていく意識。
ぼんやりと見えたみんなの姿。
ハッキリと、わかったことがあった。
身体がベッドに張り付けられているような…
首から下に大きな
そんな感じがした。
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作者名：浅緋
| 作成日時：2021年7月21日 23時
