Episode：01 ページ2
〜１年前〜
「今日は仕事の後、真っ直ぐ帰って来てね。」
出掛ける準備をしていると、ふいにママからそんな事を言われた。
「なんで？」
「今日は樹と北斗の合格祝いするって言ったでしょ？」
「あれ？今日だっけ？」
「そうよ。何度も言ってるでしょ？」
「はいはい。」
何度も聞いたかは覚えてないけど、とりあえず返事をする。
スマホを確認してみれば、しっかりとスケジュールされてた今日の予定。
やばっ…２人に合格祝いとか買ってない。
まぁ、あとで２人に欲しいものを聞いてから、買えばいいか。
私の名前は、
職業は作業療法士。普段はリハビリ専門の病院で働いている。
「北斗、それちげーって！」
「いやいやいや、樹が間違ってるって！」
家のアホ男子は、朝から賑やか。
２人とも、もうすぐ高校生になるのに、いつまで経っても小学生みたい。
朝から元気全開なこの２人は、弟の樹と北斗。
２人とも中学３年生、つまり双子。
見た目も性格も全然似てないけどね。
「あれ？樹、またピアス増えてない？」
ついこの前、高校に受かったと思ったら、すぐにこれ。
「人のこと言えねーじゃん。」
「私は大人だから、いいんですぅ。」
「そんなピアスいっぱいしてる、リハビリの先生とか見たことねーよ？」
樹は、ホント口が立つ。
口から生まれたんじゃないかな？ってくらい、口が止まらない。
「少しは北斗を見習ったら？アンタ、北斗と同じ学校受かったの奇跡でしょ？」
「いや、俺めっちゃ勉強したからね？」
「絶対、ウソでしょ？北斗、ホントのこと言った方がいいよ？」
「樹、ちゃんと頑張ってたよ。」
北斗は樹に比べたら、静かだけど、それは人見知りなだけで、樹と一緒になると、まあまあ喧しい。
「ママー、Aが俺のことバカにしたー。」
“ママー”って、小学生男子なの？
「はいはい、お姉ちゃん酷いね。」
あまりにもうるさすぎて、ママからも軽くあしらわれてる…。
「ちゃんと聞いてよ！もう！」
「残念だったね、樹。」
しょぼんとしてる兄と慰める弟。
いつも思うけど、生まれてくる順番逆だったんじゃない？
「樹はいつも元気だな！」
「パパ聞いてよ、みんなで俺のこといじめんだよ！」
「俺はやってないって？」
「Aが俺をいじめる！」
「樹、ホントしつこい。お姉ちゃんが悪かった。」
「わかればいいんだよ！」
うわ、ムカつく…。
それでも年の離れた弟たちは可愛いと思う。
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作者名：浅緋
| 作成日時：2021年7月21日 23時
