検索窓
今日:193 hit、昨日:208 hit、合計:765,376 hit

特別編 ページ22

人々が帰っていく。

イルミネーションもきっと終わりに近づいているからだろう。


(寒い……)


鼻の上がツンと痛み、耳はちぎれるんじゃないかってぐらい痛む。

手袋をした手で耳を塞ぎながらベンチに腰かけた。



『………早く来ないかなぁ』



ポツリと言葉を溢した瞬間、



「お待たせ」



ふと出来た影に視線を挙げた。



『……ふ、………あ、安室、さん……』



外で呼んではいけないと、咄嗟にもうひとつの名を口にすれば、

彼は少しだけ、怪訝そうな顔をした。



「寒かったでしょう。こんなに頬っぺた冷たくして……」



車で来たからなのか、まだ温かい降谷さんの手が頬に触れ、あまりの温かさにすり寄った。



『あったかい……。

あ、お仕事お疲れさまでした』

「ありがとう。
なんとか一段落したんです」


ニッコリ笑う安室さんの格好はお仕事帰りだからやっぱりグレーのスーツで、紺色のコートに黄色いチェックのマフラーをしていた。

かわいい。若い。

下手すれば就活生にしか見えない。


「……今、失礼なこと考えたでしょう」

『いやいやそんなことは』


下手すぎる誤魔化しをすると、彼は小さく息を吐き、私の手をとった。


「……寒いところ申し訳ないんですけど、
僕もイルミネーションが見たいんです。お付き合いしてもらってもいいですか?」

『もちろんです。そのために待ってました』


彼の手を握り返すと、思い切り引っ張られ、ベンチから立ち上がった。


「やっぱり寒いですねぇ…」

『真冬って感じですね。風邪引かないでくださいね』

「そうですね。気を付けます。


なので、」


そう言うと彼は、私の手を安室さんのポケットに入れて、中でギュッと手を繋いだ。


「カイロ替わり、ということで」


辺りのイルミネーションに照らされる髪を淡い色で揺らしながら、目を細めて笑う彼はとても綺麗だ。


『ヤダァ………イケメェン………』

「ムードもクソもないですね」


満面の笑みを絶やさずに言うが、きっとあきれているのだろう。

けど、


(なんだか、カップルみたいだ)


嬉しくなるのが抑えきれず、口許がにやけてしまうのがわかる。

できれば安室さんに今こっちを見てほしくはない。

だらしない顔がばれてしまうから。







―――――
あれれー?
おわらないぞー???

特別編→←特別編



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1482 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
6170人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユナ@前垢消えた(プロフ) - 最高すぎて一気読みしちゃったでし、、、、、更新待ってます!!!!!!! (6月25日 8時) (レス) @page26 id: 0fb864c8c1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかそ - 初めまして!面白くて2日で一気読みしちゃいました!!私のスマホ終わりって表示されてますけど嘘ですよね!?続きが気になりすぎてハゲそうです、、、!いつか続き見れたら嬉しいなぁ〜、、、!! (2023年4月11日 16時) (レス) @page26 id: 515339af0b (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 続きが気になります!体調を崩さずに! (2022年12月23日 0時) (レス) id: 8331d59edc (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 続きが気になり過ぎます!!続きが更新される日を心待ちにしています!! (2022年7月16日 3時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - ああああもう最高です。。。😭安室さんかっこいい。。。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page26 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/  
作成日時:2018年9月7日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。