特別編 ページ22
人々が帰っていく。
イルミネーションもきっと終わりに近づいているからだろう。
(寒い……)
鼻の上がツンと痛み、耳はちぎれるんじゃないかってぐらい痛む。
手袋をした手で耳を塞ぎながらベンチに腰かけた。
『………早く来ないかなぁ』
ポツリと言葉を溢した瞬間、
「お待たせ」
ふと出来た影に視線を挙げた。
『……ふ、………あ、安室、さん……』
外で呼んではいけないと、咄嗟にもうひとつの名を口にすれば、
彼は少しだけ、怪訝そうな顔をした。
「寒かったでしょう。こんなに頬っぺた冷たくして……」
車で来たからなのか、まだ温かい降谷さんの手が頬に触れ、あまりの温かさにすり寄った。
『あったかい……。
あ、お仕事お疲れさまでした』
「ありがとう。
なんとか一段落したんです」
ニッコリ笑う安室さんの格好はお仕事帰りだからやっぱりグレーのスーツで、紺色のコートに黄色いチェックのマフラーをしていた。
かわいい。若い。
下手すれば就活生にしか見えない。
「……今、失礼なこと考えたでしょう」
『いやいやそんなことは』
下手すぎる誤魔化しをすると、彼は小さく息を吐き、私の手をとった。
「……寒いところ申し訳ないんですけど、
僕もイルミネーションが見たいんです。お付き合いしてもらってもいいですか?」
『もちろんです。そのために待ってました』
彼の手を握り返すと、思い切り引っ張られ、ベンチから立ち上がった。
「やっぱり寒いですねぇ…」
『真冬って感じですね。風邪引かないでくださいね』
「そうですね。気を付けます。
なので、」
そう言うと彼は、私の手を安室さんのポケットに入れて、中でギュッと手を繋いだ。
「カイロ替わり、ということで」
辺りのイルミネーションに照らされる髪を淡い色で揺らしながら、目を細めて笑う彼はとても綺麗だ。
『ヤダァ………イケメェン………』
「ムードもクソもないですね」
満面の笑みを絶やさずに言うが、きっとあきれているのだろう。
けど、
(なんだか、カップルみたいだ)
嬉しくなるのが抑えきれず、口許がにやけてしまうのがわかる。
できれば安室さんに今こっちを見てほしくはない。
だらしない顔がばれてしまうから。
―――――
あれれー?
おわらないぞー???
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ユナ@前垢消えた(プロフ) - 最高すぎて一気読みしちゃったでし、、、、、更新待ってます!!!!!!! (6月25日 8時) (レス) @page26 id: 0fb864c8c1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかそ - 初めまして!面白くて2日で一気読みしちゃいました!!私のスマホ終わりって表示されてますけど嘘ですよね!?続きが気になりすぎてハゲそうです、、、!いつか続き見れたら嬉しいなぁ〜、、、!! (2023年4月11日 16時) (レス) @page26 id: 515339af0b (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 続きが気になります!体調を崩さずに! (2022年12月23日 0時) (レス) id: 8331d59edc (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 続きが気になり過ぎます!!続きが更新される日を心待ちにしています!! (2022年7月16日 3時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - ああああもう最高です。。。😭安室さんかっこいい。。。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page26 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年9月7日 17時