Case94 ページ13
その名前に聞き覚えがあった。
私の、父親の名前だ。
背景で桜が咲き誇ってる。
満開だ。
一体どこの桜なのだろうか。
写真の奥で佇み、桜を見上げる一人の男。
黒一色の姿のその男は、ただただ桜を見上げていた。
(お父………さん………)
それは紛れもない、
今は亡き、父の姿だった。
なぜこの写真がこんなところに。
父の姿は別の写真で見たことがある。
有希子さんに見せてもらった。
(お父さんの写真はあるのに、なんでお母さんの写真はないのだろうか)
１枚もない母親の写真。
だから顔もわからない。
声も知らない。
(どうして)
どうして、
父は、
母は、
(私を捨てたんだろう)
___
__
_
「今日はなんだか、上の空だね」
夜ご飯の食器を洗っていたら、壁に寄りかかってこちらを見る降谷さんにそう言われてしまった。
『す、みません……何か話してましたか？』
「いいや。
ただ、会話をしていても空返事だったから」
『あ、それは…すみません…』
水道の水を止め、タオルで手を拭きながら視線をさ迷わせた。
「何か悩み事かな？」
『……いえ。
今日、新一の家を掃除したもので、疲れてしまって』
「あの大豪邸を掃除するのは苦労しそうだ」
『１日あっても足りませんよ…』
ハハハ…と、笑みを浮かべると、
降谷さんは困ったような笑みを浮かべた。
「……あまり、思いつめるんじゃないよ」
降谷さんの大きな手が、私の頭に乗せられた。
「君は嘘が上手だから、周りは気づかない。
けどそれは、君が苦しんでいるのを誰もわかってくれないってことだ。
君は優しいから、何も言わずに抱えてしまう。
そうすれば、君はいつか壊れてしまうよ」
『…』
「詳しい内容は話さなくてもいい。僕も聞かない。
けど、
本当に辛いなら、こうやって頭を撫でたりしてあげるし、望むならこの胸だって貸すよ」
『……降谷さんは、エスパーですか？』
「職業柄、人をよく見ているだけさ」
『降谷さん』
「ん？」
『…………頭、たくさん撫でてください…』
「撫でるだけでいい？」
『…手を…』
「うん」
『握って、頂けると…』
「お安いご用さ」
降谷さんの手は、大きく、温かい。
水で冷えた私の手にじんわりと温もりを与えてくれる。
(お父さんに撫でられたら、どんな気持ちになるんだろう)
今みたいに、手先から、心臓まで、ぬくもりがかけ上がる感覚に陥るのだろうか。
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ユナ＠前垢消えた(プロフ) - 最高すぎて一気読みしちゃったでし、、、、、更新待ってます！！！！！！！ (6月25日 8時) (
レス) @page26 id: 0fb864c8c1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかそ - 初めまして！面白くて2日で一気読みしちゃいました！！私のスマホ終わりって表示されてますけど嘘ですよね！？続きが気になりすぎてハゲそうです、、、！いつか続き見れたら嬉しいなぁ〜、、、！！ (2023年4月11日 16時) (レス) @page26 id: 515339af0b (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 続きが気になります！体調を崩さずに！ (2022年12月23日 0時) (レス) id: 8331d59edc (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 続きが気になり過ぎます！！続きが更新される日を心待ちにしています！！ (2022年7月16日 3時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - ああああもう最高です。。。😭安室さんかっこいい。。。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page26 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヤギとポン酢
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2018年9月7日 17時
