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勘弁してくれ8 ページ8

見れば見るほどシンプルな部屋だ。

必要最低限、って感じがする。

職業は探偵だって梓ちゃんは言ってたけど、

ふるやさんは仕事、何してるんだろう。

あの風見さんって人は部下らしいし。



(と、いうか、待て)



ふるやさんが運ばれたあの病院。



(私が異動した病院じゃないか……!?)



あのときはあまり周りのものに関心むけてなかったけど、

よくよく考えれば、

あそこは警察病院だ。


え、それに今頃気づくとは、

私は馬鹿なのか。

人間やめるべきか。



て、ことはですよ奥さん。

彼、ふるやさんは警察官…と考えるのが妥当。

なるほどなるほど。

なら部下がいるのにも納得がいくし、

色々隠したいのは捜査とかに支障が出るからか。

確かにあの雨の日、



"しょ、くぎょう、がら……しか、たな、く"



と、言っていた、


あーもう、なるほどすぎるわぁ。

そしておそらく口止めされるわぁ。



「できましたよ」



鼻をくすぐるおいしそうな匂い。

ん?これはシチューですな???



『お、お手伝いもなにもせず、すみません…』

「いえいえ。
山口さんはお客さんなんですから」



こわい。イケメンこわい。



「大したお礼にはなりませんが、どうぞ」



テーブルに並べられた数々の食事。

あれ、3つ星レストランかなここは。



『いただきます』



手をしっかり合わせて食事のあいさつをするのほ私のポリシーだ。

だって他の命をいただくんだもの。

それなりに祈りをあげたい。



シチューを一口食べて、

少し、咀嚼して、

飲み込んで、

スプーンをおいて、

息を吐いて、

両手で顔を覆って、




「…山口さん?」

『しんどい』



なんだこのシチューは。

絶妙なとろみと甘さ。

野菜はほどよく柔らかくて噛んだ瞬間に野菜のうまみが口一杯にじわりと広がる。

バターも入っているのだろう。

香りとコクがさらに食欲を増幅させる。

なんだこれは、飯テロか。



「お口に、合わなかったでしょう…か」

『え、あ、ちがくて…

とてもおいしいんですけど、おいしいなんてどこでも使える言葉で形容してもいいほどのものではなくて、語彙力のない私にとっての最大級の褒め言葉がしんどいで……ホントに、ホントにおいしくてしんどみが激しい』



と、率直な思いを告げたところ、

安室さんはうつむきながら肩を震わせた。


え、解せぬ。

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作者名:ヤギとポン酢 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/  
作成日時:2018年8月9日 23時

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