勘弁してくれ6 ページ6
やっかいなことに巻き込まれた。
脳内の私が喚鐘を高らかに鳴らして『逃げろォォォオオオ!!』と叫んでる。
絶対やっかいごとだ。
こういうときの勘は冴えているんだ、私。
「それじゃあ、ごゆっくり」
笑顔を張り付ける安室さんの目は笑ってない。
え、なにあの冷たい視線。
ブリザードアイ。
ふえぇ、こわいよぉ。
「念願が叶いましたね!!」
『ハ、ハハ、ハハハハ………はぁ……』
やっぱり私はついてない。
―――
――
―
結局、閉店までその店に居座ることになり、
ちゃっかり安室さんが自宅まで送ることが決定してしまった。
なにこのご都合主義。
まぁ梓ちゃんとたくさんお話できたからいいけど。
本当に尊い。尊さが大洪水おこしてる。
そして安室さん。
彼はかなりJKに人気のようだ。
あむぴって呼ばれてたよ、あむぴって。
今時のJKのネーミングセンスがすごい。
どしゃ降りの日のふるやさんを知っているせいか、
そんなかわいいアダ名があまりにも似合わなくて笑い堪えるの必死だった。
安室さんスタイルならぴったりなんだけど。
これからあむぴって呼ぼう、脳内で。
「お待たせしました!行きましょうか」
『はぁい…』
できることなら私なんかよりも梓ちゃんを送っていってほしいのだが、
彼女は「安室さんと変な噂されるの嫌だから」と、ニッコリ笑って拒否された。
くそそんなところもかわいい。
「さぁ、どうぞ」
『これ、』
「はい?」
『あむ、安室さんの車ですか?』
おぉっと危ない。あむぴって呼ぶところだった。
私の目の前には白いマツダさんのスポーツカー。
え、こわ。なにこれこわい。
「えぇ。かっこいいでしょう?」
人懐こい笑みを浮かべながらナチュラルに私の手を引いて車内にエスコートするらへん、この人女の人に慣れてるとみた。
え、私?
彼氏いない歴=年齢ですけどなにか?
さみしいとか言うんじゃありません!!!
「さて、いきますか」
ギアをチェンジし、
走り出す車。
イケメンは運転するサマもイケメンかよ。
てかまって、
どこいくの。
うつりゆく町並みを、
シートに背を預けながら眺めてみる。
なんだか落ち着かないのは隣のイケメンのせいである。
「……まずは、」
彼は、さっきとは変わり、少しだけ声が低くなった。
「あの日、助けてくれてありがとうございました」
それは、
きっとこの人の素の一面なのだろう。
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作者名:ヤギとポン酢 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年8月9日 23時