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勘弁してくれ27 ページ27

「………良かった…」


心底安心したようなため息を混じりのその言葉は、

私の耳をくすぐった。



『ふ、降谷さん……!!あの!そろそろ!』

「…どうしてもダメですか」

『私の心臓が破裂しそうなんです!痛いんです!!』



只でさえ耐性のないこのモブ女がこんなイケメンに、ましてや告白してきた男に抱きしられてみろ。

もれなく心臓が破裂する。



「……そうですか」



名残惜しそうに離れると、「これは、許してください…」と、

まるで捨て犬のような眼差しをこちらにむけながら、

スルリ…と私の手に指を絡ませた。

おかげさまでこっちの顔は熟れたリンゴの如くに真っ赤だ。



『と、とりあえず、中、入りません?玄関じゃ寒いですし……』

「…いえ、もう帰ります。
それに、

このまま上がらせてもらったら、
僕は確実に貴方に手を出してしまいそうだ」

『…………はい?』



手を出すとはどういうことだろうか。

まさか、

口封じされるのか!?!?!?

息の根止められる!?!?

それはご帰宅願うしか他にないな!!!



『それは帰ってもらわないと、私、死ぬ…』

「あー……まぁ、はい、それでいいですよ、今は」



今度は困ったように笑みを浮かべる降谷さん。

あーもー、どんな笑顔も様になるぅ!!



「……山口さん」

『…なんでしょう』



キュッ…と、強く私の手に指を絡ませたと思えば、今度は額を私の額に合わせてきた。

キラキラと光るブルーの瞳がゆらりと揺れて、ゆっくりと私の瞳を覗きこむ。



「……僕が、この先、どんな女の人といても、
僕が好きなのは、貴方です…。

仕事上、貴方には何も言えない。
こんな胡散臭い男、フラれて当然です。

それでも、
僕は、貴方のことが、本当に………」







こんな

こんな切羽つまった顔で、

泣きそうな顔で、

愛の言葉を紡ぐこの人を、

突き放すことなんてできるだろうか。

こんなにも自分を思ってくれるなんて、

早々いるものだろうか、


キュウッ…と胸が苦しくなり、

なぜだか私が泣きそうになって、

恐る恐る、降谷さんの手を強く握り返した。



『…あ、なたが、この国のために奔走してくれていることは、あの雨の日から、わかってます。

私にくれる優しさが嘘だったなんて、思いません。
何も言えないのは当たり前です。
貴方の命に関わることですから』


『…私は、』




『降谷さんが生きていてくれれば、それで、それだけで、いいんです』

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作者名:ヤギとポン酢 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/  
作成日時:2018年8月9日 23時

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