勘弁してくれ22 ページ22
「"朝から貴方の声が聞けて良かった。今日も頑張れそうです"」
『そ、れは、良かった、です、ね、ハイ…』
突然のデレに対応できないのは反射神経が鈍いからだろうか。
いいえ、慣れてないからです。
「"今度、映画でもいきませんか?友人からチケットをもらったんです"」
『……………友達いたんですね』
「"……僕も傷つきますからね"」
『サァーセンッ!』
思ったことを無意識に言葉にしてしまうのは私の悪い癖だ。
それで学生のとき友達と大喧嘩した。
うん、いい思い出だ。
「"それで、今日はお仕事何時までなんですか?"」
『えーっと…18:00前には終わると思い……………あ』
「"18:00ですね!"」
『あの、迎えとか、ホントに…』
「"…さっきも言った通り、僕は貴方に会う口実がほしいだけなんです"」
「"我が儘でごめんなさい"」と、笑みを含んだ声が聞こえて、それで顔が熱くなるのは不可抗力だと言ってくれ。
不可抗力です!!!
うん、そうだね!!!
「"貴方が本当に嫌なら、諦めます"」
『う、ず、ずるい言い方を…』
「"僕はずるい男ですよ"」
『うううう…………あ、あい、たくない、わけじゃあ………ないん………ですけ、ど……』
「"なら良かった。
では、18:00頃、お迎えにあがります"」
あれ、私いつからお姫様になったのかなぁ。
こんなデロデロに甘やかしてもらったのおじいちゃん以来だぞー?
電話が切れて、ハァ……とため息をついた私の顔はやっぱり熱い。
年下に翻弄されるおばさんとは。
『……………仕事、行こう』
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作者名:ヤギとポン酢 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年8月9日 23時