I won't cry anymore. (ページ10)

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その後北斗はさっきの事がなかったかのように振る舞ってくれた上にすごく配慮をしてくれた。
彼の言葉表情が頭から離れず北斗の優しさも痛く辛い

「A、疲れた？大丈夫？」

『うん、大丈夫だよ』

「嘘つけ、作り笑い下手すぎ」

そういうと北斗は"今日は帰ろう"って
私を家まで送り届けてくれた

家について1人になると彼の事が頭から離れない
彼中心に生きていた私にとって彼が中心にいない
世界で今までどう生きていたのかもわからなかった
思った以上に彼の事を好きになっていた

"お前は俺のだから"今まで何度他の女の子にも
そう言ってきたのだろう。彼の言葉も心もなにもかも1番に聞くことも心を傾けられることもない。
私の全ては彼で彼の全ては私ではないそれが全てだ。

この恋を終わりにしよう

そう心に決め、気持ちが揺らぐ前に彼に電話をする
ワンコールもしないうちに繋がれば
少し不機嫌そうな声がする

「なに？」

『言いたい事があって、』

「電話とかなんだし会わねえ？」

彼を見てしまったらまた気持ちが溢れ返るんじゃないかって少し怖かったけどもう彼から逃げたくない
という気持ちの方が強かった

『うん』

「夜遅いし家の前まで迎えに行くから」

『ありがとう』

彼は私の返事を聞くと同時に電話を切った
彼になにをどう伝えようって考えているうちに
インターホンがなった急いで家を出ると
彼はバイクに跨り携帯をいじっていたチラッとこちら
を見れば私にヘルメットを渡し"乗って"とそれだけ

彼の後ろに周り乗れば危ないからって強制的に
彼にぎゅっと抱きつく形になりすこし気まずくなる
色んな感情をぐっと胸にしまい込み、軽く目を瞑る
少しすると懐かしい匂いがした

バイクから降りヘルメットを取ると
あの日以来の海が目の前に広がる

「少し歩こ」

『うん』

彼は私の手を取る事なく1人で歩き始めた
その後ろをトボトボと付いていく
するとあの日初めて彼とキスをした岩場に着いた
彼は同じ場所に腰を下ろし

「おいで」

と隣に私を座らせた