04.別れてから3日後 ページ5
五条くんと別れて3日目。教室にて私は窓の外を見つめてぼうぅっと雲一つない澄み切った青空を眺めていた。どんな人間の目にも空は平等に美しく映るのだ。
はぁ、と思いの外熱い溜息を吐き出せば、隣の席の硝子ちゃんに「なに、恋煩いにしか見えない溜息吐いて」と揶揄われた。……やっぱり、すぐバレちゃうよなぁ。窓の外に思いを馳せたまま言う。
「恋ってさ、楽しいけど苦しいよね。どうしてこんなに四六時中考えちゃうんだろ」
「A、そうやって突然ポエム生み出すのやめな?黒歴史になんよ」
そうして硝子ちゃんが面白そうに食らいついてる時も、私の脳内と心は『彼』が占領していた。
硝子ちゃんは「で?続き聞かせてよ」と野次馬モードで続きを促してくる。窓から視線をずらして彼女の方を見れば、楽しげに目を細めて棒付きキャンディーを舐めていた。その際にもうちょっと奥にいる五条くんがソワソワしているように見えたのは何故だろうか。
まあいいか、とすぐにどうでもよくなって促されるまま続きを話す。
「今何してるんだろうなーとかさ、ふとした時に思っちゃうあれって何ていう現象なんだろうね。美味しいものたべたらあの人にも食べてほしいなーって思うし、綺麗なもの見たらあの人にも見せたいなーって思うし。あの人はどんなものを見て感じて、心を動かされるんだろう」
「痛いし甘い……。煙草吸いたくなってきちゃったじゃん」
「話してって言ったのは硝子ちゃんじゃん〜」
あっま、と顔を歪める硝子ちゃんにけらけら笑えば、携帯をいじっていたはずの五条くんが「オイ」と口を挟んでくる。その隣の席の夏油くんは関わりたくないというでも言うように済ました顔で本を読んでいた。その耳にはヘッドホンが乗っかっている。
五条くんに「なーに?」ときょとんと聞き返す。
「そーいう遠回しのアピール鬱陶しいんだけど。言いたいことあるなら直接言えば」
ハッ、と小馬鹿にしたような笑いを見せながら言いのけた五条くんに、硝子ちゃんが「相変わらずクズ……」と苦言を零している。
が、私は確かに彼の言うことは一理あるなと思った。
「……そうだね、直接言わないと始まらないよね」
「ま、まあ?面倒だけど特別に聞いてやっても____」
五条くんの言葉を遮って、硝子ちゃんが「ねー、Aは誰にその気持ち言いたいの?」と尋ねてきた。私は笑顔で答える。
「行きつけのカフェの店員さん!もうね、すっごい大好きなの!」
「はァ!?」
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雨宮 - こういうオリ主人間味があって好きです、面白かったです。 (12月6日 19時) (レス) @page8 id: ec3fa44d4f (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - ゆずなさん» ありがとうございます!更新は不定期ですが、少しずつ頑張っていきます。 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - あやさん» はじめまして。恋多き女故に終わった恋に執着しない夢主を五条はどうするのか…。お楽しみいただけると幸いです。 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 霧雨 音葉さん» 初コメありがとうございます。素直になれない五条を書くの、私自身も楽しんでいます。笑 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずな - この作品めっちゃ好きです!続き待ってます( *´꒳`* ) (10月31日 22時) (レス) @page7 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2023年10月18日 21時