03.親友の受難-夏油傑 ページ4
夏油傑視点
▼△▼△▼△▼△
同期の中の唯一のカップルが別れた、らしい。と言っても、同期は4人しかいないけれど。
別れて速攻、私の部屋に来て漫画の週刊紙をペラペラと捲りながら「今度一緒にナンパしに行かね?」と誘ってくるソイツはクズだ。硝子辺りには私も巻き込まれてクズ共と呼ばれているが。悟は1年付き合った彼女と別れてもノーダメージらしかった。
「悟。本当にいいのかい?Aと別れて」
「いいに決まってんだろ。俺から別れろっつったんだから」
「まあ君がそう言うならいいんだけど。で、別れ話にAはなんて言って了承したの?」
部屋に来た直後に「Aと別れた」とは聞いたが、その顛末をまだ聞いてはいなかった。聞いたからと言って何も行動を起こす気はない。ただの好奇心だ。そう、知りたかっただけ。悟がどのようにして、彼にゾッコンだったAと別れたのか。
悟は漫画を置くと、苦々しい顔をして言った。
「別れようって言ったら、『分かった』って」
「へぇ?意外にあっさりだね」
「……んで、『自分は復縁とか絶対無理だから』って」
「なるほど?」
「『元カレには2度興味湧かない』ってさ」
「面白いこと言うね、彼女」
「は、最後まで俺の気ぃ引こうとしているようにしか見えなかったわ」
悟は「これで俺も自由の身だー」とベットに横になる。おい、私のベットを自分のもののように使うな。そんな文句が出かかったが、言っても無駄なので溜息を吐いて椅子に座る。
まあ、悟もAもお互いに未練を残さず別れたのなら良かった。同期が4人しかいない中のカップルが喧嘩別れや浮気で別れたのなら空気は地獄になっていただろうし。
そう、良かった____と、この話は終わりにしようとした時。
「けど多分、これってあれだよな。押してダメなら引いてみろってやつ」
「……ん?」
「アイツも面倒なことするよなー」
「…。悟は、まだAが君のことを好きだと思っているの?」
「あんなに俺に夢中だったんだから数日そこらで変わんねぇだろ」
「んん〜〜」
いや、私達に隠れて一見まともに見えるが、Aも割とぶっ飛んだ子だからな……。宣言通り、悟のことは既に吹っ切れて1週間後には新しく彼氏ができる可能性だってある。
しかし、それを口にすることは躊躇した。
「Aってほんと、面倒だよなあ」
言葉とは裏腹に、頬を緩ませる親友がいたからだ。
面倒事に巻き込まれないよう、口を閉じた。
1110人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨宮 - こういうオリ主人間味があって好きです、面白かったです。 (12月6日 19時) (レス) @page8 id: ec3fa44d4f (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - ゆずなさん» ありがとうございます!更新は不定期ですが、少しずつ頑張っていきます。 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - あやさん» はじめまして。恋多き女故に終わった恋に執着しない夢主を五条はどうするのか…。お楽しみいただけると幸いです。 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 霧雨 音葉さん» 初コメありがとうございます。素直になれない五条を書くの、私自身も楽しんでいます。笑 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずな - この作品めっちゃ好きです!続き待ってます( *´꒳`* ) (10月31日 22時) (レス) @page7 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おもち | 作成日時:2023年10月18日 21時