01.惚れた方の負け ページ2
呪術高専に入学して1年目のこと。昔から恋愛体質だった私は、同期の1人に無事一目惚れした。
その相手は五条悟。呪術界の御三家の1つである五条家の次期当主で数百年振りの六眼と無下限呪術の抱き合せという、将来有望でしかない彼。彼は容姿にも恵まれていた。何色にも染まらないようなさらふわの白い髪、雲一つない真夏の青空のような瞳、一般の人よりも頭1つ分くらい高い長身。こんなにも美しい男の人を見たのは初めてだった私は、頭の先から爪先まで雷で貫かれたような衝撃を受けた。
同期の中で私以外のもう1人の女子____硝子ちゃんからは、五条の性格はどうしようもないクズだと称されていたけれど。ノリは良いし、明るいし、友達に対する優しさは持ち得ているし。多少の素行の悪さは許容範囲だった。
入学してから少し経って、仲が深まってきた頃。夜に皆で夏油くんの部屋に集まってお菓子を食べながらゲームをしている時だった。誰が言い出したかは忘れたけど、何故か恋バナをする流れになって。理想のタイプはだとか、元カノ元カレは何人だとか、そんな話をしていたら。
唐突に夏油くんが五条くんに尋ねたんだ。「そういえば、この前連絡先を渡してきた女の子とはどうなったんだ?」と。私は全力で聞き耳を立てる。
「んー。胸がそんなだったしやめたー」
「はは、可哀想に」
五条くんは何でもないようにコントローラーを握りながら答えた。五条くんと、その返答に笑う夏油くんを見ながら硝子ちゃんは「やっぱクズ……」と毒を吐いていた。
そして話題が移り変わっても、私は何も言えないでいた。だって、
五条くん、今フリーってことでしょ……!?
面と向かって聞きづらかったことを意図せず代わりに聞いてくれた夏油くんには感謝しかない。後でお供えしておこう。
判明した事実。五条くんに現在恋人はいない、ということに胸が歓喜で騒いだ。アドレナリンが全身に染み渡っていく。
その勢いのまま、胸をドキドキ鳴らす私は「五条くん!」と語り掛ける。
「五条くん。今フリーなら、私と付き合ってよ」
「なに?俺のこと好きなの」
「好き。実は一目惚れしてた」
「ま、胸小さくなきゃ誰でもいーし。いいよ」
「ほんと?ありがとう!」
目を点にしている硝子ちゃんと夏油くんを置き去りにし、私と五条くんのお付き合いが始まったのだった。
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雨宮 - こういうオリ主人間味があって好きです、面白かったです。 (12月6日 19時) (レス) @page8 id: ec3fa44d4f (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - ゆずなさん» ありがとうございます!更新は不定期ですが、少しずつ頑張っていきます。 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - あやさん» はじめまして。恋多き女故に終わった恋に執着しない夢主を五条はどうするのか…。お楽しみいただけると幸いです。 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 霧雨 音葉さん» 初コメありがとうございます。素直になれない五条を書くの、私自身も楽しんでいます。笑 (11月3日 18時) (レス) id: fadfb7919a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずな - この作品めっちゃ好きです!続き待ってます( *´꒳`* ) (10月31日 22時) (レス) @page7 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2023年10月18日 21時