友情の先にあったもの。(ymin)

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IN side


山田隣に座って、肩とか太もも同士が触れ合う。
貰ったホットワインや触れ合う部分からの温もりになんだかほっとしてもっと甘えたくなり、山田の肩に頭を預けて目を閉じる。


ワインの香りと山田が放つ甘い香りが混ざりあって少しだけ回ってきてる酔いを増長させてクラクラする。


意識が沈む心地良さに身を任せっぱなしにしていると山田が心配そうに顔を覗き込んで来た気配を感じたのでパチリと目を開く。


「いのおちゃん？眠い？」

「ううん」


しっかりと目を合わせたまま、体制を変えて山田の膝の上に座るように乗っかる。


「ウチね、漠然と恋がしたいな。彼氏が欲しいなと思ってた」

「うん」

「高校生の頃山田に彼氏が出来て羨ましいなと思ったり、光が碇くんについて楽しそうに話してくれるのを聞いたり、薮が初恋に落ちた話しをしてくれた時の表情を見て、いいなあって思ったの」


山田は話しに相槌を打ちながらウチのウィッグを外して、パサりと出てきた茶色のマッシュルームヘアを指で梳かしていく。

ウィッグとネットのせいでぺたんこになっていた髪の毛が山田の指で元のふんわりさを取り戻す。


「でも、リアリティなんか少しもなくて。キスしたり、その先も、自分自身に起こることがあるかもしれないなんて想像したこともなかった。
今日、あんなふうにされて怖かったし気持ち悪かった」


この先も誰かと恋人関係になる想像が少しも出来ない。

ウチの中で恋愛はただなんとなく憧れてるもので、現実感をまるで伴っていなかった。

高校生の頃大好きだった高木先生だって、見ているだけで幸せ、話が出来たら舞い上がるけど、それだけで。
付き合って、キスをしたり、なんてことを想像したことは一度も無かった。

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