5 ページ6
IN side
「伊野尾さんですか??」
いつの間にか到着していたピザ配達のお兄さんに声をかけられ慌てて返事する。
『はい』
支払いをしなきゃとポケットに手を突っ込むが、
「……あ、」
ーあれ??
ポケットの中はからっぽ。
ズボンやブレザーのポケットをポンポンと叩くが全部ぺたんこ。
…………はっ!財布!鞄の中だ!
あの時なんとなく逃げたくて教室を出てしまったからすっかり財布のことは忘れていた。
俺がバタバタしてる間に山田が会計を済ませ、ピザを受けとってくれていて申し訳ない。
「山田ごめん。財布教室においてきた。あとでちゃんと返すから」
「いいよ。それより早く戻らないと冷めるよ」
いいよって……言われても、ほとんど交流のない、しかも後輩に奢られるわけには…。
「じゃあ俺はあっちだから。またね」
キラキラ笑顔で俺の手にピザを渡し、山田は自分の教室へ向かってしまった。
こんな風にサラッと優しいから山田はモテるのかもしれない。
またねって笑う顔もやっぱりイケメンでかっこよかったし。
思ってたのと違うとかでフラれる俺とは大違い。
山田の優しさをありがたくこの場では頂いておこう。
女子に聞けばどこのクラスかなんて直ぐに分かるだろうからあとで返しにいけばいっか。
ピザが冷める前に早く教室へ戻らなきゃ。
手に持ったピザからめちゃくちゃいい匂いがしてお腹が鳴りそう。
186人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽんた(プロフ) - ひとみさん» コメントありがとうございます(*´ω`*)好きと言っていただけて嬉しいです!亀更新ですが頑張っていきます!!! (2021年9月11日 14時) (レス) id: 26174ade27 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - この作品めちゃ好きです!! いつも更新楽しみにしてます!! (2021年9月11日 14時) (レス) id: e39657dd30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぽんた | 作成日時:2021年3月7日 9時