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黄「氷を操る能力か……かなり汎用性が高そうやな」
淳太が険しい顔をしてそう呟く。
俺は3人の小型カメラから映る映像を見ながら、自分の呼吸がどんどん荒くなるのを感じていた。
＿＿似てる、僕の能力と……。
虹色に輝く結晶が部屋中に広がる光景がフラッシュバックして、俺は思わず椅子から崩れ落ちた。
黄「どうした!?」
淳太が屈んで俺の背中をさすってくれるも、荒くなった呼吸はなかなか戻らない。
緑「はあ……はあ……」
ドクンドクン、と耳に心臓があるのかと思う程に大きい鼓動が聞こえる。
緑「ごめんなさい、大丈夫……」
黄「……！ちょっと待ってな」
淳太はそう言うと通信機に繋がっているマイクの電源をオンにして、のんちゃんと流星に話しかけた。
黄「のんちゃんと流星は、もしもの時に錫雪が被害者を人質に取れないようにしてくれ」
桃『了解。気付かれないように館のすぐ近くでスタンバイしておくで』
青『りょーかい』
そんな会話が耳鳴りに混ざって聞こえてくる。
無意識に、耳に着けたイヤーカフをぎゅっと握りしめた。
＿＿大丈夫、だいじょうぶ。
黄「神ちゃん」
淳太がそう言って再びしゃがみ、俺の背中をさする。
緑「ごめんなさい……もう大丈夫。二人を、館まで案内しなきゃ＿＿」
立ち上がろうとした時、くらりと身体が傾くのを感じた。
黄「神ちゃん！」
淳太が支えてくれていなかったらそのまま倒れていたことだろう。手足が冷えてビリビリと痺れるような感覚を覚える。
黄「神ちゃん、少し休もう」
緑「でも……」
それ以上の言葉を続けられず、ぎゅっと口を閉じてモニターを見上げる。
＿＿もし皆に何かあったら、僕はどうすれば……。
黄「あいつらを心配する気持ちも分かる。でも、それで神ちゃんが無理をしていい理由にはならない」
淳太がそう言いながら、俺の片腕を自分の肩に回して立ち上がる。
緑「……そうかもしれない、けど……」
淳太に連れられてサイバールームのベッドに横たわる。
緑「……皆をお願いします」
グチャグチャと色んな感情が混ざっている思考の中で、俺はその言葉だけを絞り出した。
黄「任せろ。今はゆっくり休んで」
そう言ってモニタールームに戻っていく淳太の背中を見ながら、俺は不甲斐なさと悔しさでぎゅっと拳を握りしめた。
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作者名：@雑草 | 作成日時：2023年3月8日 12時
