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＿＿五十年くらい前に、政府が秘密裏に人体実験を行っていたのは、ご存知ですか？
「……具体的には知らなかったが、今になって思えば、知り合いがその実験に研究者として借り出されてたのかなと、考えているよ。自ら命を絶ったところを鑑みるに、その実験の内容をあとから知ったんだろうってこともね」
＿＿そうか、何も知らないで参加させられていた人も居るのか。何も考えずに質問をしてしまった。
「いや、能力者が意図的に生み出されたというのは、薄々思っていたんだ。俺らがクリスタルのことを研究し始めたのは、そういう事だよ」
俺はその言葉に目を見開き、頭を下げた。
＿＿凄く、助けられました。このクリスタルのおかげで
俺はそうお礼を言って、耳に着いたイヤーカフを触る。
「そうか……。良かった。救われた人が一人でもいるなら、俺は嬉しいよ」
俺は淳太のお父さんの言葉に、心の中が暖かくなるのを感じた。
……俺も、誰かの為に俺ができる最大限のことをしよう。それで、誰か一人でも、助けることができるなら。
＊
トラックのハンドルを切って、閑静な住宅街を通り抜ける。
橙「今んとこ怪しい人影は無いか」
桃「うん。感情がおかしい人はいない」
助手席に座った望がそう言いながら頷く。
周りの様子を見てもらう為に、崇裕じゃなくて望に座ってもらったはいいものの、ここにはユートピアの連中は来ていないみたいだ。
紫『もう少し先に行ったら人も多くなる。狙うとしたらそこかもな』
通信機から崇裕の声が響く。
橙「了解。人が多い＿＿」
桃「危ない！」
望に言葉を遮られたと同時に、誰かが建物の影から飛び出して来た。
ハンドルを切りながらブレーキを踏み、車窓から見えた人影を見て、俺は鳥肌が立つのを感じた。
橙「お前ら外出ろ!!」
本能的に危機を感じ、そう叫んで運転席から飛び出る。
真っ先に外へ飛び出した俺を襲ったのは、紅色に輝く光弾だった。
何とか躱して顔を上げると、変形した左腕を突き出した少女の姿があった。
橙「お前……」
急いでトラックから出てきた望達も、少女を視認したのか表情を変える。
桃「バット……！」
望が吐き捨てるように名前を呼んだ。
「ハァイ。こーんにーちわ」
紫「アイツ……右腕も変わってるやんけ」
�陲舛磴鵑慮斥佞法△海舛蕕惻蠅鮨兇襯丱奪箸留ο咾忙訐�を向けると、ナイフのような鋭い大きな刃が、スリーブの裾から姿を見せていた。
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作者名：@雑草 | 作成日時：2023年3月8日 13時
