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紫「望！」
名前を呼びながら駆け寄ると、望は徐ろに立ち上がった。
桃「あいつ、逃げたっぽい」
手の甲で顔についた埃を拭いながらそう言う望に、俺はホッと胸を撫で下ろした。
紫「無事で良かった……」
＿＿流星に続いて望までやられてたら、あの女を逮捕するだけじゃ、俺の心の整理がつかんところやった。
桃「ていうか、俺より�陲舛磴鵑蓮�大丈夫？」
望が心配そうに俺の腕を見つめる。
紫「ああ、だいじょぶだいじょぶ。あ……ごめん、そこに落ちてる腕取ってくれへん？」
桃「わ、わかった」
望は戸惑いながらも、落ちた俺の腕を恐る恐る抱きかかえて俺に渡してくれた。
俺は受け取った腕の断面同士をくっつけながら再び口を開いた。
紫「ありがとう。こうやっとけばあとちょっとでくっつくから大丈夫」
桃「ほんとだ……くっついてきてる……」
望が驚いたように目を見開いて俺の腕を見つめた。
その時、背後から野太い呻き声が聞こえてきた。
紫「目ぇ覚ましたか」
起き上がろうとしている男を見ながら俺がそう言うと、望はスーツの袖を捲りながら口を開いた。
桃「ごめん、ちょっと浅かったのかも」
紫「いやいや、上出来やろ」
俺は望にそう返しながら、徐ろに起き上がる大男に視線を向ける。
＿＿さっき望がこっちに来れたのは、この前の手合せの時に教えた鳩尾の深いところにパンチして気絶させる技を成功させたからだった。
教えてる時から思っていたけど、本当に望は飲み込みが良い。きっと、これからもっと良い刑事になるやろうな。
紫「さてと……こいつ、多分実験体やろうけど、攻撃してくるんやったら手加減はあんまり出来へんな」
俺はいつもの癖で手を耳にかざそうとして、すぐに下ろした。
紫『淳太、しげ達はどうなってる？神ちゃんは無事やったか？』
テレパシーを使ってそう問いかけると、少し間が空いて答えが返ってきた。
黄『……神ちゃんが暴走状態になってる。なるべく早く加勢してくれ』
紫『分かった』
＿＿多分、淳太はこっちを急かさないように言わないべきか迷ったんやろうな。
桃「�陲舛磴鵝帖帖�」
黙りこくっていた俺が気になったのか、望が俺の顔を覗き込んだ。
紫「すまん、淳太とやり取りしてた。神ちゃんが危ないらしいから、直ぐに片付けよう」
桃「了解」
俺と望はアイコンタクトを交わして、再び大男へ向かった。
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作者名：@雑草 | 作成日時：2023年3月8日 13時
