▫ ページ30
「何回も何回も……同じ手が通用するとでも？」
灰浜の言葉に危機感を覚えたのとほぼ同時に、しげは念動力によって壁に叩き付けられていた。
赤「がっ……!?」
飛んできたナイフでしげの左の二の腕を壁に固定したのが見える。部屋の中に真っ赤な血が飛び散った。
橙「しげ……っ！」
それに気づいてすぐに突進しようとしたが、足がズキッと痛み、片膝をつく。
「No.0。貴方がどんな進化をしているのかと期待していたのに、この程度ですか。残念です」
灰浜はそう言うと、残ったナイフをしげに向かって飛ばした。
＊
橙「やめろッ!!」
照史の声が耳に響き、目の前の光景がスローモーションになる。
ナイフの切っ先が俺の目と鼻の先まで来た時、灰浜の叫び声と共にそれらは全て地面に軽い音を立てて落ちた。ゆっくりと視線を灰浜の方へと向ける。
そこには、虹色の結晶に貫かれた灰浜の姿があった。
赤「かみ、ちゃん……」
血を流して倒れ込む灰浜の背後から、手を翳している神ちゃんが姿を現す。
ガスマスクを投げ捨て、俺らをギロリと睨むその顔つきは、いつもの神ちゃんとはまるで違った。
目はギラギラと緑色に輝いていて、口角が三日月のように上がっていた。
橙「神ちゃん、なんで＿＿」
照史が戸惑いながらそう言ったその時、神ちゃんは俺らに手を向けた。
その瞬間、虹色の結晶が足元からメキメキと鋭い山のように生えてきた。
俺はすぐさま腕に刺さっていたナイフを引き抜いて神ちゃんの後ろにワープし、神ちゃんを羽交い締めにする。
赤「神ちゃん！俺らや!!目ぇ覚まして!!」
そう叫んでも、神ちゃんはギラギラとした目をして口角を上げたままだった。
橙「おいしげ！離れろ!!」
照史の言葉にハッとして照史の近くに瞬間移動した。そうだ、神ちゃんの元々の能力は触った物を結晶にする。羽交い締めにしたままもし触られていたら、俺は結晶になっていただろう。
神ちゃんは俺を掴もうとして空を切った手をジッと見て、再び俺らへ視線を移した。
＿＿神ちゃんの能力がどれくらい上がっているのか分からないけど、触らずとも結晶を発生させる事ができるようになっているってことは、かなり力が増しているのが分かる。
赤「神ちゃん!!」
そう叫んだ時、俺は自分が泣きそうになっているのに気づいた。
＿＿こんな姿、見たくない。守れなかった、遅かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：@雑草 | 作成日時：2023年3月8日 13時
