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橙「あ？どういう意味や」
照史が般若のような顔をしてそう聞き返す。すると、灰浜は恍惚とした表情で語り始めた。
「例えばそうですね……貴方たちの組織に所属している桃色の瞳の青年、彼の能力は凄まじいものです。あなた達は彼の能力をただ真偽を問う時に使っているだけのようですが、彼の能力の真価は相手の感情が分かることだけではなく、それをさらに細かく把握し、相手の次の行動が予測できることなんです」
灰浜の言葉に、藍川の時のことを思い出した。
確かにあの時、小瀧は藍川の感情を読み取り、藍川の飛び降りを阻止していた。あれが、相手の感情を把握して次の行動を予測するということか。
「それに、貴方たちの司令官……と言うべきでしょうか？彼の能力も興味深い。
彼の能力の真価はテレパシーを送るだけでなく、一方的に人の思考を支配できること。それを引き出さないのは宝の持ち腐れ以外の何物でもない」
灰浜はそう言い切ると、さらにニヤリと笑って口を開いた。
「私たちが買い取ってその真価を引き出しましょうか？彼のように」
彼、と言った時、灰浜は神ちゃんに視線を向けていた。
俺は爪が食い込むほどに手を握りしめた。
＿＿挑発だ。それは分かってる。だけど……！
頭に血が上った俺は、考えるより先に身体を動かした。瞳を赤く輝かせて灰浜の間近にワープし、灰浜を思い切り殴り飛ばす。
「くっ……」
橙「しげ！落ち着け！」
照史の声が後ろから聞こえるが、カッとなった頭ではもう止まれなかった。
蹴りを入れるために足で振りあげようとしたが、何故かそれは叶わなかった。
「No.0……！」
灰浜がそう吐き捨てた瞬間、俺の身体は何かに引っ張られたように後ろへ弾き飛ばされていた。
赤「ッ……!?」
吹き飛んだ瞬間に見えた灰色に輝かせた灰浜の目には、確かな殺意が宿っていた。
橙「しげ！」
照史が咄嗟に身体を受け止めてくれたおかげで、俺は壁に叩きつけられずに済んだ。
橙「念動力か……！」
「No.0は瞬間移動……そして、橙色の貴方は……腕部硬化だったかな」
橙「さすが"元"研究者。記憶力は一流ってか？」
照史の"元"を強調した言葉に、灰浜は一瞬顔を歪めたが、すぐにさっきまでの微笑みに戻った。
「成程、トー二ーが言っていたように、確かに良い情報屋が居るみたいだな」
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作者名：@雑草 | 作成日時：2023年3月8日 13時
