▫ ページ22
緑「うぅ……ッ!?」
自分の呻き声が、ガスマスクを通してくぐもって聞こえるのが分かる。
「どうだい、コア。力が増してるのが感じられるだろう？」
＿＿いやだ、嫌だ!!
俺は心の中で叫びながら首を振った。
そうだ、腕の拘束を何とか結晶にして割れれば……！俺はそう思い、手を動かそうとしたが、何故か力が入らなかった。それどころか、視界が歪んで行くのに気づく。
どこか頭がふわふわとしていて、気持ち良いとすら感じるのが余計に恐怖を誘った。
緑「……っ！」
俺は無理やり首を後ろに振り向かせた。鉛になったのかと思う程に、全ての行動が遅くなっている気がした。
「あまりアンヘルの力を舐めない方がいい。抵抗は無駄だよ、コア」
サンディは俺を見下ろしながら、冷たく吐き捨てた。
サンディの言葉に、前にのんちゃんが言っていた言葉を思い出す。
＿＿アンヘルには多分、人を惹き寄せる何かがある。
人を力で酔わせ、中毒にさせて、惹き寄せる。これが、アンヘルの隠れた能力……。
緑「そん、な……」
視界の四隅が暗くなり始め、思考がぼんやりとした感覚に陥る。何故か、喉がキリキリと痛んだ。
その時、頭の中に誰かの声が響いた。濁ったように聞こえるものの、低い独特の声で、その声が流星の物であると直感した。
＿＿生きてる、良かった。
心の中でそう思ったのも束の間、俺の身体はガクンと地面に倒れた。
緑「う、うぅ……ッ」
駄目だ、このままじゃ……。頭の中の霧がどんどん濃くなり、言葉すらまともに思い出せなくなる。
青『神ちゃん!?聞こえるか!?』
緑『流星、助けて、お願い……』
俺はそれだけ言って、意識を手放した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：@雑草 | 作成日時：2023年3月8日 13時
