バンタン街のあの子《起》

8.ダメ TH ページ8

【side テヒョン】



ジミナのために入れたホットココア


自分の分もマグカップに入れて、フゥーっと息をかける。



「……うん、やっぱりテヒョンが入れるホットココアは美味しいよ」



『ちょっとは落ち着いた？』



「うん」



時刻はまだ8:35を指している



『配達は全部終わったの？』


「うん」


『…じゃあ、今日はうちを手伝ってくれる？』



春の新学期の時期は結構お菓子が売れるから

ほんとはいっぱい作っておきたいところだったし、




今日は雨がだけど、明日は晴れるし、


ただの予感だけど……笑



なにより今日は

ジミナをそばに置いておきたい気がしてた






「……ごめんテヒョン、今日はダンスの練習をする予定なんだ。もうすぐ、大きな大会に出るための予選があって…」



『…そうなんだ。


無理するなよ！チング！』




ハイタッチの手のひらをジミナに向ける



でもその手に収まる手が来ない



ジミナの方に目を向けると、思いつめたような表情をしてマグカップをギュッと握っている


・


そんなに、まだ、ジミナの中にある傷が癒えていないのかと


改めて思い知らされる。


あの時のぼくに何ができたのだろう。


・


収まらない手を自分から迎えに行って、

ギュッと握る



『あんまり自分を思い詰めちゃダメだよ。ジミナ』



「……テテ。昨日、


夢を見たんだ。あの時の、、、、


そして起きたらこの空だ。」


ふと外を見るとさっきまで曇りだった空から


ポツリポツリと雨粒を降らせていた。



『……大丈夫、この雨すぐ止むやつ！』



僕がそういうと、ジミナの糸目の笑顔が見えた


でもその笑顔は切ない



「そうだね」



ダメだ、今日はジミナのダンス練習に行かせたくない

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