バンタン街のあの子《起》

31.意味NJ ページ32

【sideナムジュン】



今朝ジミナから聞いたAちゃんの寝言


僕の覚え間違えじゃなかったら


助けてって意味。


Aちゃんはなにから逃げてるの？




・


時刻は10:00


職場で書類の整理をし始めるAちゃん


その姿を横目に

僕は早速依頼が入っていたクルマの修理に取り掛かる。




今の時点でこの先彼女との時間を長く共有できるのは、


多分同じ職場の僕。



だからこそ、その時間を使って、彼女の心の声、その苦しみを


出来る限り、解いてあげたい。



でも、僕には、、



「ナムジュン さん！！」



Aちゃんから呼ばれた声でふと我に帰った



「もー、3回呼びましたからね！笑」


そう言って頬を膨らませるAちゃん




「二日酔いですか？笑笑」



ケラケラ笑いかけてくる彼女をみていると


ジミナから聞いた話しが嘘のようにも感じられる。



『あー。なんかそうみたいです、笑 どうしました？？』



クルマの下から出て、頬に黒いスミ跡をつけた僕に、笑いかけながら、書類のことについて聞いてきた。



「なるほど！わかりました！」



納得いった顔を見せた彼女は、
昨日よりも仕事に、この街に、馴染んでいるようだった。



「あ、あと、昨日楽しかったです。誘ってくださり、ありがとうございました。」



書類から顔をあげて僕の目を真っ直ぐみつめる彼女。



すぐに視線を下に泳がせてしまう僕。



「ナムジュンさんのお友達は、素敵な人ばかりで、私も早く仲良くなれるようになりたいって思っちゃいました！あ。ごめんなさい。図々しい…ですよね。。」



パッと視線をあげて彼女に伝える


『そんなことない！みんなAちゃんがこの街を好きになってくれることを望んでるし、仲良くなりたいと思ってるよ！』



「そう言ってくれると嬉しいです」


彼女が今度は視線を下にそらして微笑んだ。



・



その時


バンっ



店の扉が開いた。



「おい、、！この車なおしてくれや！」



いかにもチンピラのような人が入ってきた。




僕はとっさに、Aちゃんを後ろに隠し、前へ進み出る。



『お客様。では、こちらにお名前とご住所とクルマの直してほしいところをお書きください』


ぶつくさ言いながらも書類に記入するチンピラ


「ちゃんと直してくれよ。日本人がぶつけてきやがってよ！ムカムカするわ」



その言葉に、一瞬で背筋が凍った。



住所を見ると、そこには「青街」とかかれていた。

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