バンタン街のあの子《起》

4.雨の日 NJ ページ4

【side ナムジュン】


どうやらまた、目覚まし時計を壊してしまったようだ。

時計を見ると8:35を指している。
始業時間は8:00なんだけど、目覚まし時計がなっていた音は聞こえなかった、、、はずなんだけど





『はい。今起きました。すみません。』


オーナー「ははっナムジュン、君が効率のいい頭の持ち主じゃなかったらクビだったよ〜！今日は午後から店番に新しい子が入ってくるから、2人で仲良くやってよね〜」


『そうなんですか？新人さんですか？』



毎度ここのオーナーにはお世話になっている。本当にいい人で僕の先生のような暖かい人で、的確なアドバイスをたくさんくれて心から尊敬している。




オーナー「そう！日本から来た女の子なんだけどさ、まだ韓国語も拙いし、ちょっと人見知りっぽいんだけどね、とてもいい子で素敵な子だと思うんだ！慣れさせてあげてよこの街にさ！」



大学一年生の時に第2外国語で日本語を取っていたから多少はは話せるけれど、そのことをオーナーにはなしたっけかなぁと記憶を巡らせながら
話を聞く



『ちなみに彼女は整備資格とかは持ってないですか？』



オーナー「うん、持ってないんだよね〜本当にただの事務要員って感じでの採用なんだ。……ここだけの話、僕の友達の親戚の子なんだ笑
最初は採用しようかどうか迷ったんだけどね、一回面接来てもらって話たらグッと彼女の魅力に引き込まれちゃってさ！」


『……なるほど』



オーナー「まぁとにかく悪い子じゃないし、今日は雨だからきっとお客さんもそんなに出かけないだろうから、仕事量は少なそうじゃない？ゆっくり仕事教えてやってよ！」


半ば言い逃げのように切られた電話をそっと閉じて、身支度を始める。


・


雨の日だからこそ、


交通事故って起きやすいものじゃないんですか？

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