48話 ページ49
｢何となく。身体の中にずっと流れてるこの感じ、だよね？｣
Aは耳元に微かに触れる吐息に僅かに顔を赤らめながら答えた。
レナトスはそれに少し違和感を覚えるも、話を続ける。
｢ああ、それだ。｣
｢魔力っつうのは自分のもんだ。｣
｢だから、てめえが何やりたいかって頭で考えたら、大概はそれに従って動くんだよ。｣
｢最終的には、杖が魔力を拾って出力する。｣
｢お前のは…ニアか。｣
｢いい杖だな。｣
ニアの杖とは、子どもが一番最初に触れる初心者用の杖だ。
これは、原材料というニアの木の性質によるものである。
ニアの木とは、長く人と共に育ってきた木だ。
その木は、柔らかく加工がしやすかった。
その木は、原生林溢れる森と、人の領域のちょうど間。
林、と呼ばれるところに生えている。
人が手を入れ、一番いい状態で育つよう、時には間引く。
逆に言うと、ニアと言う木はそれでしか生きられない程弱い木だ。
原生林が軒を連ねる様な場所では、ニアは生きられない。
人はニアを理解し、ニアもまた、人を理解した。
そうした空間で育つニアは生き生きと枝を伸ばした。
そうして、人が最初に触れる自然の力として、自分の一部を譲るのだ。
｢あの木から貰ったんだろ？｣
レナトスはちらりと先程までもたれていた木を見た。
｢ウォールバーグさんと育てたんだってな。｣
｢覚えてるの？｣
言ったこと。
Aは少し驚いたように返す。
それに、レナトスは少し心外だと言うように、眉をひそめた。
｢ったりめーだろ。｣
｢忘れるかよ。お前の事だ。｣
ほわり
とAの中心が暖かくなる。
自分と違って、日々様々な人と関わっているであろうレナトスが、自分との会話を覚えていてくれたことが、単純に、嬉しかった。
｢そっか。｣
笑ったな。
Aが魔法を上手く使えない事に引け目を感じているのは知っていた。
たまに付き合って魔法に向き合ってみるも、最後には半ば諦めたように俯く姿は、出会ってから今まで何度も見た。
その度に申し訳なさそうに｢ありがとう｣と、寂しそうにお前は笑う。
そんな 姿がとんでもなく健気なものに見えてから、やっと自分の想いを自覚した。
そもそも、会いに行かなきゃ会えない。
会いに行っても、結ばれるわけが無い。
そんな“ダルい”相手の所へ自分が足繁く通うんだ。
その答えなんてもう分かりきってたというものだ。
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sub山(プロフ) - そらさん» そらさん！とっても嬉しいコメントありがとうございます♥️ぐいぐいいっちゃっていいんですか？笑今許可を頂いたのでがっつりいきます!! (4月1日 2時) (
レス) id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
そら - sub山さんの小説大好きです！読んでいてキュンキュンします❤️これからも更新がんばって下さい！レインとオーター推しの方多いはずなので、その2人はぐいぐいいっちゃって下さい笑 (3月31日 9時) (レス) @page49 id: 8e3a2b7bbe (このIDを非表示/違反報告)
sub山(プロフ) - Suzukaさん» 確かに！レナトス見ないですね💨入れましょう!! (3月25日 1時) (レス) @page28 id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
Suzuka - レナトス落ち中々無いので候補に入れてもらえると嬉しいです！ (3月24日 23時) (レス) id: 659586fc39 (このIDを非表示/違反報告)
sub山(プロフ) - ルイさん» 即レスで気持ち悪くなってたらすみません(>_<)めっっっっっっちゃ！嬉しいです!!!!!!本当にありがとうございます✨今、ルイさんのおかげで私が最高です！ (3月23日 19時) (レス) id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sub山 | 作成日時：2024年3月19日 13時
