46話 ページ47
マッシュが少し大変な思いをしている一方、Aは馴染みの中庭にいた。
｢飛べ！｣
｢飛べ？｣
おかしいなあ。
昨日は出来たのに…。
Aはこの中庭で密かに箒の練習をしていた。
勿論、この時間になるまでの授業はうつらうつら半分寝ている状態であったが。
先生、ましてや一般生徒にも殆ど存在を認識されていないAは、居眠りなどしても誰も咎めない。
そんなAが目をはっきりと開き、箒に向かっている。
今までは絶対にしなかった。
無理なことがわかっていたからだ。
だが、昨夜の出来事で、それが変わった。
Aは、あの瞬間をまた感じたい。
めっずらし。
｢っ、あっはっはっはっ!!｣
｢おまっ、飛べ？は流石に箒もわかんねえだろうよ。｣
｢つか、練習してんの？｣
ひいひいと腹を抱えながら来たのはレナトスだ。
｢レナトス！そうなの。｣
｢私にも出来るって分かったから。｣
Aはレナトスが来たことに、喜色の色をうかべる。
だが次の瞬間、疑問の声を上げた。
｢それよりもこの時間。｣
｢大丈夫なの？｣
もう就業時間終了、という訳にはとてもじゃないが言えない時間。
ずれた休憩時間を利用するにしても、魔法局からイーストンまではそこそこ距離もある。
それが、不思議だった。
｢ああ？…サボり。｣
と、どこか茶化したような返事が返ってきた。
｢レナトス。｣
Aはそれに、明らかに非難の声を上げるも、即座に否定の声が入る。
｢悪い、嘘。｣
｢ダリー事には変わりねえが、終わらせてきた。｣
｢お前が気にしなくていいくらいにはやってんよ。｣
｢そう。｣
それじゃあ、いいのかな…？
仕事をした事が無いAには分からないが、そういう時間の使い方もあるのだろう。
何より、本人が大丈夫と言っているのだ。
｢んな事より。｣
｢空飛ぶんか？｣
｢見てやる、やってみ。｣
レナトスはそう言うと、Aが練習する傍らにある木に背を預けた。
いつもはしっかりとAを支えるその木も、長身のレナトスだからか、少し小さく見える。
Aはその様子にくすりと一つ笑うと、再び箒に向き直った。
｢……っ！｣
レナトスは静かにAのその様子を見守る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sub山(プロフ) - そらさん» そらさん！とっても嬉しいコメントありがとうございます♥️ぐいぐいいっちゃっていいんですか？笑今許可を頂いたのでがっつりいきます!! (4月1日 2時) (
レス) id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
そら - sub山さんの小説大好きです！読んでいてキュンキュンします❤️これからも更新がんばって下さい！レインとオーター推しの方多いはずなので、その2人はぐいぐいいっちゃって下さい笑 (3月31日 9時) (レス) @page49 id: 8e3a2b7bbe (このIDを非表示/違反報告)
sub山(プロフ) - Suzukaさん» 確かに！レナトス見ないですね💨入れましょう!! (3月25日 1時) (レス) @page28 id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
Suzuka - レナトス落ち中々無いので候補に入れてもらえると嬉しいです！ (3月24日 23時) (レス) id: 659586fc39 (このIDを非表示/違反報告)
sub山(プロフ) - ルイさん» 即レスで気持ち悪くなってたらすみません(>_<)めっっっっっっちゃ！嬉しいです!!!!!!本当にありがとうございます✨今、ルイさんのおかげで私が最高です！ (3月23日 19時) (レス) id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sub山 | 作成日時：2024年3月19日 13時
