38話 ページ39
｢大事な、｣
気を使って、言ってくれているのでしょうね…。
明日も彼女には授業がある。
早く立ち去らねばというのも、わかってる。
大事…。
大事な、用。
貴方に会う、それ自体が。
僕にとって、何事にも変えられないものだと言ったら、貴方は困るだろうか。
すっと黙ったカルドを見て、少しだけ、考える。
｢…ねえ、カルド。｣
｢我儘を言ってもいい？｣
…？
｢我儘、ですか？｣
｢そう、我儘。｣
かたりと、Aが席を立ち扉と逆の方向へ歩く。
そちらは…。
かちゃ
Aは、目の前の鍵を開けた。
ふわり
湿気の少ない、柔らかな涼しさの風が入ってくる。
遮光のためだけのシアーカーテンが、ふわりと舞った。
同時に、
カーテンの白とは違う、月光に照らされた彼女の白髪が、誘うように揺れる。
カルドの視線は一点のみに縫い付けられた。
ゆるりと、口端があがる。
｢教えて下さい。｣
｢貴方は、僕にどんな我儘を言ってくれるのですか？｣
その声は、一層優し気だった。
Aもまた、その言葉にゆっりと笑みを浮かべる。
｢空をね、飛びたいの。｣
そう言った彼女の背後には、銀に輝く月明かり。
｢空を？｣
そんな月の美しさにすら、彼女は負けを知らなくて。
｢そう。私が魔法、下手くそなの知ってるでしょ？｣
｢自分で飛ぶこともまともに出来ない。｣
いいよそんなの、僕がどうにでもしますから。
｢でもね、今日思ったの。｣
｢飛ぶのってすごく気持ちよさそう。｣
まるで絵画のようなその様を、ずっと見ていたいような気もする、
｢私、空を飛びたいわ。｣
でも、
｢あ、でも！
｢多分明日、カルドは眠くて大変かも。｣
そう、Aは悪戯に笑って見せた。
そんな神秘的な中にも無邪気さを残す貴方に、
僕はやっぱり、近づきたい。
｢可愛い方からの、頼み事ですからね。｣
すっと、カルドが前に手を出す。
すると、音も無く箒がでてきた。
｢それでは、お嬢さん。｣
カルドはAへ近づくと恭しく腰を曲げ、
Aの前に、誘うように片手を差し出した。
｢この僕と、夜の散歩でも如何でしょう？｣
カルドのその洗練された動きに、Aは嬉しそうに笑うと、応えるようにそっとその身を預けた。
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sub山(プロフ) - そらさん» そらさん！とっても嬉しいコメントありがとうございます♥️ぐいぐいいっちゃっていいんですか？笑今許可を頂いたのでがっつりいきます!! (4月1日 2時) (
レス) id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
そら - sub山さんの小説大好きです！読んでいてキュンキュンします❤️これからも更新がんばって下さい！レインとオーター推しの方多いはずなので、その2人はぐいぐいいっちゃって下さい笑 (3月31日 9時) (レス) @page49 id: 8e3a2b7bbe (このIDを非表示/違反報告)
sub山(プロフ) - Suzukaさん» 確かに！レナトス見ないですね💨入れましょう!! (3月25日 1時) (レス) @page28 id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
Suzuka - レナトス落ち中々無いので候補に入れてもらえると嬉しいです！ (3月24日 23時) (レス) id: 659586fc39 (このIDを非表示/違反報告)
sub山(プロフ) - ルイさん» 即レスで気持ち悪くなってたらすみません(>_<)めっっっっっっちゃ！嬉しいです!!!!!!本当にありがとうございます✨今、ルイさんのおかげで私が最高です！ (3月23日 19時) (レス) id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sub山 | 作成日時：2024年3月19日 13時
