16話 ページ17
｢嬉しい。｣
私は、必要であればこの手を容易に穢す。
｢会いに来てくれるのも。｣
屠ったことさえある。
書類の上で、印一つで赤子さえ手にかけた。
｢こうやって、お喋りしてくれるのも。｣
全ては、魔法界を守るため。
全ては、規律を守るため。
全ては、神が最上位である、この世界を乱さないため。
ただ、ほんの少し、ほんの少しだけ思うところがあった。
規律を重んずる自分は、果たして人であるのかと。
それは、この世に生きる大多数を守る為だ。
自分が選んで、自分で決めた。
こうしたら、ああなる、というある意味機械じみた思考回路。
自分の中の自分が、固く固くなっていく。
オーターは、局長としての判断をする時、私情を挟まない。
それは全て、無駄だから。
例外を認めればそこから今まで積み上げてきたものが簡単に崩れ去る。
それをオーターは、よく知っていた。
｢私、オーターと過ごす時間が好きよ。｣
とくり
だから、来るんだ。
彼女が自分に笑いかけてくれる、その瞬間。
規則的に動いていたものが乱れていく。
彼女に会えない、その時間。
次は何をしようかと気持ちが解れる。
彼女に対して動き始めるこの心臓に、自分は心があるのだと自覚する。
自分は人だと自覚する。
───ただ、
すっと、オーターの手がAに伸びた。
頬全てを包む様に、優しく手が触れる。
｢そうか。｣
本来なら淘汰されるべき線無き者である彼女の顔は、そんなもの最初から必要ないとでも言うように美しく輝いている。
自分が屠ってきている線無しは、彼女だと言うだけで特別なものに変わった。
そんな彼女の顔が、自分の手を当たり前のように受け入れ、僅かに擦り寄る。
そんな仕草に、また中心が疼いた。
｢私も、好きだ。｣
寂しさ、嬉しさ、
その眉は、少しだけ苦しそうにきゅっと寄せられ。
それにつられた瞳は、藍(あい)に染る感情を僅かに湛えた。
ただ口許には、
彼女に会えた、嬉しさを。
彼女と重なった時間の尊さを、
そんな、隠しきれない嬉しさが浮かんでいた。
不安、喜び、希望、絶望、そして、罪悪感。
そんな、人としてのありとあらゆる感情がつまったその表情は、
｢A。｣
(自分は今、どんな表情をしているのだろう。)
深い、深い、顔だった。
───君の存在は、世界にとって神だった。
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sub山(プロフ) - そらさん» そらさん！とっても嬉しいコメントありがとうございます♥️ぐいぐいいっちゃっていいんですか？笑今許可を頂いたのでがっつりいきます!! (4月1日 2時) (
レス) id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
そら - sub山さんの小説大好きです！読んでいてキュンキュンします❤️これからも更新がんばって下さい！レインとオーター推しの方多いはずなので、その2人はぐいぐいいっちゃって下さい笑 (3月31日 9時) (レス) @page49 id: 8e3a2b7bbe (このIDを非表示/違反報告)
sub山(プロフ) - Suzukaさん» 確かに！レナトス見ないですね💨入れましょう!! (3月25日 1時) (レス) @page28 id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
Suzuka - レナトス落ち中々無いので候補に入れてもらえると嬉しいです！ (3月24日 23時) (レス) id: 659586fc39 (このIDを非表示/違反報告)
sub山(プロフ) - ルイさん» 即レスで気持ち悪くなってたらすみません(>_<)めっっっっっっちゃ！嬉しいです!!!!!!本当にありがとうございます✨今、ルイさんのおかげで私が最高です！ (3月23日 19時) (レス) id: f95fa78fdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sub山 | 作成日時：2024年3月19日 13時
