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251話 ページ9

「杠ちゃん!何作ってるの?」

かんかんかん

高い音を立てながら、カセキと杠はいた。
何やら夢中になって作っている姿が気になったのだ。

「Aちゃん!今ね、千空君に頼まれたものを作ってるの。」
「すっごく大きい地球儀!」

「Aちゃんじゃない!どう?この球体。ワシのお気に入りなのよ。」

「本当ですね!凄く綺麗!つやつや…!」

「うんうん!凄いよね!」
「なるべく早く出港しなきゃみたいだから、急ピッチで作ってるんだけど…。」
「これを置くテントも作らなきゃだから、中々手が回らなくて…!!」

杠は泣く泣くAに訴えた。

…テント。

「…ねえ、杠ちゃん。」
「テント、私が作ってもいい?」

「…え、でも、Aちゃん…。」

杠は、Aが針を落とす瞬間を見ていたうちの一人だ。
ずっと共に手芸担当としてやったきたAのその姿に、杠は自分の事のように痛みを感じていた。

「うん、そうなんだよね。」
「そうなんだけど…。」
「今なら、大丈夫な気がするんだ。」

Aは、杠達が作業する傍らで、丸太に腰掛けた。
目の前には、針と糸と、布。
ゆっくりと手を伸ばし、針に触れる。
手の震えは、無かった。
次に糸を持ち、針に通す。
出来た。
布を持ち、針を刺す。
一瞬、あの時のことが過ぎったが、Aの手は、変わらず動いていた。


「…A!?」
「お前、針が…!!」


たまたま歩いていた千空が驚いたように言う。



「あ、千空君。」




「針、持てるようになったよ。」




そう言いAは、空の青を背負い、晴れやかに笑った。

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Jane Doe(プロフ) - メウ(゜ロ゜)さん» メウさん!コメント、ありがとうございます!!えー!ドキドキしてくださってありがとうございます!彼らの魅力は青天井だと思うので、私なりに沢山出していけたらと思います!後は、原作と、アニメと、他の作者様達の作品で補完補完をお願いします笑 (2023年4月9日 9時) (レス) id: 980e4647fc (このIDを非表示/違反報告)
メウ(゜ロ゜) - 更新ありがとうございます!!だんだん夢主ちゃんへのアピールが分かりやすくなってきて、読んでいてドキドキしました!頑張ってください! (2023年4月9日 7時) (レス) id: c71eec4ba7 (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - まるさん» まるさん!コメント嬉しいです!大人組、いいですよね!了解です!直直挟んでいきますね! (2023年4月5日 6時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 262話天才です...こういうやりとり待ってます...!更新頑張ってください! (2023年4月5日 0時) (レス) @page21 id: abe392a41c (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - メウさん!本当にコメントありがとうございます!もう本当に、励まされてばかりで…!!これからもよろしくお願いします! (2023年4月2日 2時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Jane Doe | 作成日時:2023年4月1日 10時

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