262話 ページ20
「Aちゃん!そうなんだよお。おいでおいでー!」
ゲンが手招きをして、Aを呼び寄せる。
Aがゆっくりとゲンと羽京の前に立った。
「座ればいいのに。」
羽京が一つ席をずれようとすると。
「あ、大丈夫です!この後杠ちゃんの所に行くので!」
そう言うと、Aはじっとゲンと羽京の手元にある、黄金色の酒を見た。
「なあに?Aちゃん、お酒興味あるの…?」
「実は、少し…。」
「ビールなんて、父が家で飲んでいたのを見るくらいだったので。」
Aはなおも、酒を見つめる。
ちらっと、羽京達をみる目は物欲しそうにしていた。
ふっ。
一口欲しいって伝わってくるけど、その前に、この間の仕返しだけしなきゃだよね。
やられっぱなしは、格好つかないし。
「A。」
羽京がゆったりと口を開く。
その目はすっと細まり、口は弧を描いた。
その人差し指はAの口許にそっと触れ、緩く押す。
「まだ、だめだよ。」
低く、ゆっくりとした、甘い声だった。
ああ、そういう事ね…。
またゲンもAの頭へ手を伸ばす。
そのしなやかな指はAの後頭部からすっと差し込まれ、頭の形を確かめるように髪を絡めながら、ゆるりと頬へ降りる。
その薄い唇を開き、覗き込むように、目はしっかりとAを貫いた。
「もう少し、大人になったらね…?」
妖艶な声に、目が眩む。
「あ…の…すみません!!!!」
女を惑わせる濃密な色香に直で触れたAは、顔を耳まで紅くし、目を潤ませながら走り去って行った。
ふふ
くすくす
ゲンと羽京は思わず笑いが漏れた。
「あーもー、本っ当に可愛い。」
「ふふ。そうだね。」
ねえ、A。
ねえ、Aちゃん。
僕は、大人なんだよ。
俺は、大人なんだ。
あんまり舐めてると、
あんまり可愛いと、
容赦しないよ?
君のペースなんて、待ってやらないんだから。
202人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Jane Doe(プロフ) - メウ(゜ロ゜)さん» メウさん!コメント、ありがとうございます!!えー!ドキドキしてくださってありがとうございます!彼らの魅力は青天井だと思うので、私なりに沢山出していけたらと思います!後は、原作と、アニメと、他の作者様達の作品で補完補完をお願いします笑 (2023年4月9日 9時) (レス) id: 980e4647fc (このIDを非表示/違反報告)
メウ(゜ロ゜) - 更新ありがとうございます!!だんだん夢主ちゃんへのアピールが分かりやすくなってきて、読んでいてドキドキしました!頑張ってください! (2023年4月9日 7時) (レス) id: c71eec4ba7 (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - まるさん» まるさん!コメント嬉しいです!大人組、いいですよね!了解です!直直挟んでいきますね! (2023年4月5日 6時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 262話天才です...こういうやりとり待ってます...!更新頑張ってください! (2023年4月5日 0時) (レス) @page21 id: abe392a41c (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - メウさん!本当にコメントありがとうございます!もう本当に、励まされてばかりで…!!これからもよろしくお願いします! (2023年4月2日 2時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Jane Doe | 作成日時:2023年4月1日 10時