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240話 ページ48

空には、ペルセウス号を凌ぐような見事な大きさの三日月が浮かんでいた。
あまりにも大きくて、目が離せない。
Aは、その月を、機関室から、見つめていた。

船内では、引き続き、Whymanについての話し合いが行われていた。
過去、松風が経験したことを話すことで、さらに考察が進んだのである。

「楽しい逆探知の結果、敵の発信源は数10万km上空ってこった。」
「そう、ホワイマンは…。」
「月面にいる。」

「つ…き…!?」

機関室の中にいた者たちがざわついた。

「月の動きとリンクして動いてる、まあ、間違いないね…。」

羽京の言葉で、更に信憑性が増した。
皆が月について話す中、千空がある結論を出す。

「俺らは、月に行く!!」





Aは船尾へ出て、一人変わらぬ光で輝き続けている月を見ていた。
それは、暖かく夜を照らすものではなく。重くのしかかるような月であった。

月…。

──────「俺らは、月に行く!」

月へ……。

Aは、消え入りそうな雰囲気の中、ぽつりと、歌った。


うさぎ うさぎ
なにみてはねる
じゅうごやおつきさま
みて はねる


それは歌を楽しみ、出す声ではなく、ただ細く祈るような、寂しげな、声であった。


「A。」


低く心地よい声が、Aの耳に入る。

「…千空君…。」

千空は驚いた。こんなにも、消え入りそうなAを見たことがなかった。
背中に傷を負い、身体的に追い詰められている時でさえ、ここまでではなかった。

「どうした、何かあったのか…!?」

千空が少し焦ったように、Aの元へ来る。
両手で頬をそっと包み、顔を覗き込んだ。


「千空君。」



「神様には、ならないで。」



千空は一瞬、きょとんとした顔をしたが、Aがふざけている訳では無いのを悟り、静かに、聞いていた。

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Jane Doe(プロフ) - メウさん!そう!作画めっちゃ良いですよね!3期が楽しみすぎる!こちらこそ!お読み頂き、ありがとうございます(^^) (2023年3月31日 8時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
メウ(゜ロ゜) - 激しく同意です。Dr.STONEのアニメって作画もいいし、めっちゃいいですよね。あと、更新ありがとうございます!! (2023年3月31日 7時) (レス) @page46 id: c71eec4ba7 (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - 呟きです。2期OPのゲン、めっちゃ良いですよね。 (2023年3月31日 1時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - 神夜さん!読んでいただけているのが嬉しいです!分かりますー。私ももっとドクターストーンの小説読み漁りたい…!ぜひ最後までお付き合い下さい! (2023年3月31日 1時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - たくあんさん!コメントありがとうございます!神とは!嬉しいですね。その言葉をかけてくれるたくあんさんのが神ですよ! (2023年3月31日 1時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Jane Doe | 作成日時:2023年3月24日 0時

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