石の世界の片隅で5

228話 ページ36

ざざああん

ざざああん

波の音が、虚しく響いていた。

「イヒヒヒヒヒヒ」
「イヒヒヒヒヒヒ!!!!!!」

全てを制し、思わずと言った下卑た声が零れる。
イバラは、高揚する胸を抑えることが出来ず、歪んだ笑みを浮かべていた。

「もう笑っちゃうほど一人勝ちじゃな〜い！」
「おじちゃんホントに、この島最後の一人だし！」

ゆっくりと島に上陸し、万が一の生き残りが居ないか調べるため、島の中央に向かって歩き出す。

「あら？あらあらあら？」
「Aちゃんじゃな〜い！石化しちゃったの〜？」
「おじちゃん、君のこと結構気に入ってるんだよ〜！」
「解除方法がわかったら、また遊ぼうね〜！」

横たわっているAを見つけ、機嫌良く近づく。
すると、妙な足跡に気がついた。

…妙じゃない？
石化光線から逃げながら、こんなに進めるわけない。

イバラは足跡を辿って、森の中に入った。
すると、目の前にあの時Aが食べ損なったと立腹した獣が現れた。
中からは、ざざっという聞いたことも無い音が響く。

違うこれ、生き物じゃあない。
連中の、妖術か…。

「5m 1second」

「うわあああああ!!!!」

禁断の呪文に、退けるほど驚いた。

「あー、羽京が読み外したか？」
「いやこりゃ近くでしゃべんねえと反応しねえんだな。」
「よ〜う、イバラ。くくく、俺ら仲良く最後の二人。」
「科学VS石化の、大将戦と行こうじゃねえか!!」

「何で生きてる!?貴様…!!!!」


千空は生きていた。
科学王国民の咄嗟の機転によって。

俺は、ずっと決めてんだ。
あいつが安心出来る世界になったら迎え行くってな…。
まあ、なんか知らねえが、眠り姫は勝手に起きやがったみえてだがな。

…随分、あいつにいい格好させちまったからな。
それについても、後で説教だ。

今度は、俺だ。
俺が、助ける。
絶対にだ!!!!

千空とイバラは、自分たちの強みを駆使した闘いを繰り広げた。
千空は用意した様々なトラップを使い、イバラを追い詰める。
しかし、元は戦士のイバラだ。そう簡単に勝たせてはくれない。
千空は、肩を貫かれながらも、より優位になるよう場所を目指し、移動した。

がさ

がささ

辺り一面が木々に覆われている森の中へ入る。
沢山の枝に邪魔され、石化装置は使えないでいた。

がしゃん！

千空が、イバラに向けて瓶を投げる。
素早く反応したイバラに弾かれた。

がさがさがさ

走って、走って、走り続けると、一層開けた海哭りの崖へ出た。

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