137話 ページ38
｢ほむらちゃん、ごめんね。少し遅れちゃった。｣
｢手、出して？擦り切れてるところ、薬塗ろ？｣
｢A、お願い。｣
ほむらは、コハクに捕らえられた際、勢いよく押さえつけられたからか、手首から肘にかけて擦り傷が出来ていた。
花江と共に傷の治療などを続けていたAは、自然と集落の治療の役を担うようになっていた。
｢はい！これでいいよ。｣
｢後は、あまり砂とか付けないように、気をつけてね。｣
氷月はその様子を静かに見ていた。
Aとまともに会うのは、司帝国と科学王国の決着が着いたあの日以来である。
そう遠くもないが、何もすることがない牢の中では、より時間の流れが緩やかなため、やけに久しぶりに感じていた。
久しぶりと言っても、彼女は何も変わらずその場にいた。
ふと、氷月はいつもの調子で話しかけてみた。
まだその破れた服を着ているんですか。
早くまともなものを着てください。とそう言うつもりだった。
｢…A。｣
｢すみません。氷月さん。｣
｢今は貴方と、話したくない。｣
Aはそう硬い声で言うと、俯いた顔をそのままにそのかんばせの一切を見せず、足早に立ち去った。
明確な、拒絶だった。
ズキッ
な…んだ。これは…。
じくっ
ズキン
痛い。
痛い痛い痛い痛い！
心臓が潰れる。
息が出来ない。
こんなに、痛いのに、ソレは止まったように動かない！
彼女が、Aが、こちらを見ようともしなかった！
何故だ！
ズクンッ
……司を、刺したからか…？
自らの、考えを、押し通そうとしたからか……？
しょうがないじゃないか！
誰だって理想はある！
誰だって考えはある！
私は、私はそれを実行しただけだ!!
カシャン
氷月はAの後を追うように、檻に手を着いた。
その顔は驚愕と絶望、呆然と言ったものが貼り付けられており、Aが走り去った方向を見ていた。
……ごめん。
やり方を、変えるから……。
次は、間違えないから…。
もう、君が嫌ということはしないから……！
縋ってしまいたい！
みっともなく頭をたれたい…!!
一度だけ、一度だけでいいから戻ってきてくれ!!
謝らせてくれ…。
話を、させてくれ!!
…ああ、こんなことで知りたくなかった…。
これが……。
この感情が……。
痛い。
痛い。
愛おしい。
その日の空は、ざまあみろと嘲笑うように一片の曇りも見せない、青い青い青空だった。
──────ちらりちらりと降る雪さえも 積もり積もりて深くなる
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Jane Doe(プロフ) - 樹乃さん» 樹乃さん！コメントめちゃめちゃ嬉しいです＼(^o^)／ありがとうございますす♪お気持ち凄く嬉しいです！この先長いですが、ぜひこれからもお付き合い下さい。 (9月30日 11時) (
レス) id: 980e4647fc (このIDを非表示/違反報告)
樹乃(プロフ) - こう...文章が凄く綺麗だと思いました(語彙力) (9月30日 9時) (レス) @page15 id: df66a330f6 (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - あ、ありがとうございます！本当に、コメント、めっちゃ励まされますね！ぜひこれからもお読みください！ (2023年3月15日 10時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
メウ(゜ロ゜) - 神作品にであってしまった！更新がんばってください！ (2023年3月15日 10時) (レス) @page46 id: c71eec4ba7 (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - まじですか！ちょーやる気出ました!!ぜひこれからも読んでってください!! (2023年3月14日 15時) (レス) id: 7151efa53f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Jane Doe | 作成日時：2023年3月9日 3時
