591話 ページ3
ロケット発射まで、一週間。
その夜は、新月だった。
いつも夜を照らす月は、今は何処にもいない。
全てから隠れ、内緒事をするにはこんな日が適任だろう。
カタン
｢悪いわね。｣
｢ああ、君か。何、どうせまだ起きている。｣
｢で？君が僕に何の用だい？｣
紳士的に聞こえる口調も、どこか嘘くさい。
部屋に点々と置いてある明かりは、目の前の人物の仄暗い瞳を写していた。
少しだけ、怯む。
なぜそんなに、黒く重い瞳なのかと。
自分はあまり彼と接したことは無い。
敵対してからすぐ離れ、そもそも姿を見ることすら殆ど無かった。
だけど…。
ここに来たのには、わけがある。
南はぐっと手に力を入れると、気丈な声を出した。
｢聞きたいことがあるの。｣
｢宇宙船の事よ。｣
ふっと、笑いが漏れる。
ふむ、聞きたいことは一つだろう。
あの事は、限られた人間しか知らない。
｢…座りたまえ。｣
ゼノは優雅に対面の椅子を指さす。
｢ありがとう。｣
｢それと、作りたいものがあるの。｣
｢教えてちょうだい。｣
白い程に光り輝く太陽は、宝島全土を照らしていた。
｢おお千空これは……なんとエレガントな船体だろう…！｣
ゼノが見つめるその先には、ゼノが作りあげたLv99のエンジンと、千空が作り上げた船体が見事に一つとなった、無人宇宙船があった。
今日は遂に石の世界初めてのロケットが、宇宙(そら)へ飛び立つ日。
宝島の住人は自分達の功績を一目見ようと、エンジンの爆破に影響されない海岸線へと集まった。
そして千空達発射を行うものは動きの観察も兼ねて、海上からその姿を見守る。
船の上には、お馴染みの顔が集まっていた。
｢いよいよここ！宝島から新世界初のロケットが、人工衛星を打ち上げます!!｣
南の報道人らしい声が響く。
その片手には、一本のマイク。
ゲンとはまた違うそれは、まるでアナウンサーのようであった。
いよいよ、始まる…。
Aはそれを、緊張の面持ちで見つめている。
これが飛び立ってしまったら、いや、飛び立って欲しいのだ。人類は。
そんな、人類皆の期待と自分の思い。
相対する二つの思いは、よりAの思考を歪ませた。
ドドドドドドドド
目の前に見えるロケットから、地響きが伝わる。
いつの間にカウントが終わっていたのか、それを見守る殆どの人が、手を組み祈るような気持ちで事の成り行きを見守っていた。
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Jane Doe(プロフ) - 美玖さん» 見てますよー！まじでオリジナル展開凄いですね！本当に尊敬です！これからも書き方とか学ばせてください＼(^o^)／楽しみにしてます！ (1月17日 0時) (
レス) id: 980e4647fc (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - ぴーさん» 楽しみにしていてくれてありがとうございます！そして、こんな風に感想もいただけて嬉しいです!!原作の軸が無いとめっちゃ難しいなと痛感しております(>_<)でも、ぴーさんのこの励ましでやる気は十分です！本当に本当にありがとうございます＼(^o^)／ (1月17日 0時) (レス) id: 980e4647fc (このIDを非表示/違反報告)
美玖(プロフ) - Jane Doeさん» え？！わぁ、私の作品も読んで下さっていたんですね！アンケートもありがとうございます、嬉し過ぎます！なるべく数日に一度は更新を心掛けてるので私も頑張ります！見て頂いてるだけで幸せです！嬉しすぎてレスしてしまいました…！！ (1月11日 9時) (レス) id: ddcbc460f7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴー - 更新、いつも楽しみにしてます。言葉選びや、情景の描き方が好きで、しんどい時の頼りにさせてもらってます。これからの展開どうなっていくかとても楽しみです！これからも応援してます！ (1月10日 21時) (レス) @page47 id: b5feedf6c0 (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - 美玖さん» 美玖さん！とってもとっても嬉しいコメント、本当にありがとうございます!!私、落ちアンケートがっつり投票してました！今後の展開、とても楽しみにしています！美玖さんの更新速度、凄いですよねめっちゃ尊敬してます！王道だけど、これからも追わせてください(≧∇≦) (1月7日 2時) (レス) id: 980e4647fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Jane Doe | 作成日時：2023年11月18日 2時
