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キスをしないと出られない部屋6 ページ6

「…あの。」
「ここは、何、かな…?」
「早く、皆の所に戻らなきゃ、だよね?」

男達が押し黙り思考をする中、Aは恐る恐る口を開いた。
この者達なら事態の把握もしているだろうという、一縷の希望を胸に。

「その事だけどねえ。A。」

ゲンが説明しようとすると。

「A、これを見てくれないか。」

龍水が横から、声を上げた。
そして徐に懐へ手をやると、一枚の紙を出す。
龍水は見てくれというように、自分の前へ紙を置いた。

…は?

千空は急いで自分のポケットを探した。
確かに入れたはずなのだ。
だが、無い。
龍水以外の人間が、ばっと千空の方を見る。
焦ったようにポケットに手を入れている所を見ると、どうやら龍水が差し出したあれは本物らしい。

…やられた…!!

この状況、まずはAに接触する事に意味がある。
一番に信用出来るのは己だと。
なんなら、近づいたらそのまま囲うことも出来るのだ。

「龍水さん、何ですか?その紙。」

Aが興味深そうに近づいてくる。
龍水は内心勝ったと思い、口角が上がるのを自覚しながらそれを待った。
座り込んでいる龍水に習い、Aもまた膝を床につける。

「これを見れば、分かるんですか?」

「ああ、俺達はお前が起きる前、この空間の脱出方法を探っていたのだがな。」
「どうやら、これしか無いようだ。」

龍水の言葉を聞き、事態は余程の事だと把握する。
ごくりと唾を飲み、覚悟をして開けたその先は。


目の前の、愛しい女を見る。
恐る恐る紙を開くその姿は、贔屓目もあるのだろうか、庇護欲をそそる。
彼女はそれに対峙した時、どのような反応をするのだろうと、少し楽しみでもあった。

想像した通り、いやそれ以上だろうか。
顔はみるみる赤くなり、口許はわなわなと震えている。
そして、縋るように此方を見るその瞳は。

何とも、扇情的なものだ。

龍水はAへ手を伸ばし、頬をゆっくりと一撫でした。

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坦々麺(プロフ) - ずっと待ち望んだ続きが…!今回もすごく最高です…… (3月9日 20時) (レス) @page14 id: 14a944a4f2 (このIDを非表示/違反報告)
幸実(プロフ) - もちろんです!こちらこそ採用されるだなんてとっても嬉しいですキャ─(*ᵒ̴̶̷͈᷄ᗨᵒ̴̶̷͈᷅)─♡ぜひ使っちゃってください!(*っ´∀`)っこちらこそありがとうございます(*´˘`*)♡ (1月7日 11時) (レス) id: 2921ed131c (このIDを非表示/違反報告)
Jane Doe(プロフ) - 幸実さん» 幸実さん!ナイスアイディアありがとうございます!!それ使わせてもらってもいいですか?本編完結まで宙ぶらりんもアウトな気がしていた中で最高の啓示です笑ありがとうございます!! (1月7日 2時) (レス) id: 980e4647fc (このIDを非表示/違反報告)
幸実(プロフ) - 頬とか瞼とか手の甲などが書かれていて唇だけはくじには入ってなくて主人公ちゃんはホッとしてる、千空達はちょっと残念に思うそんなオチはいかがでしょう? (1月2日 7時) (レス) id: 2921ed131c (このIDを非表示/違反報告)
幸実(プロフ) - はじめまして。本編も含め全話を毎回楽しんで読ませてもらっています。キスをしないと出られない部屋のオチなんですけど、キスの場所の指定くじを引く感じはどうでしょう!? (1月2日 7時) (レス) id: 2921ed131c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Jane Doe | 作成日時:2023年10月19日 19時

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