509話 ページ20
胸の内に、どうしようもない何かが広がった。
たった一言、たった一言で分かってくれた。
何年離れても、何年経っても、あの子との関係は繋がっている。
それにどうしようもなく、胸が震えた。
南は、自分の頬に流れる雫を感じながら、打った。
《当たりよ。》
南さん
南さん。
南さん!!!!!!
｢……う…。｣
Aの目から、途端に涙が溢れてきた。
｢ふっ…う……。｣
この感動を、何としよう。
あの日別れて、それっきりだったあの人が、私とわかって連絡をくれた。
復活したという連絡はあった。
けど、それは言葉だけだ。
｢う……ん…!!｣
この先に、あの人がいる。
その人が、私に対して、連絡をくれた。
これは、もう、もう…!!!!
叫びたい程、嬉しい。
｢A!!!!｣
Aの泣き声が聞こえたのか、コハクが焦ったように部屋に入ってきた。
｢コハ、コハクちゃん…！｣
Aは、思わずコハクに抱きついた。
中の異常を感じたのか、仲間達が次々に入ってくる。
｢何だ！何かあったのか!!｣
コハクは、そんな周囲を気にもとめず、Aへ向かって叫んだ。
｢…きてたの。｣
……？
｢生きてるの。南さん。｣
｢復活してるの。連絡くれたの！｣
わああああ!!!!
Aは、子どものように泣き出した。
｢ふっ…!!｣
その頃、南もまた、泣いていた。
戦争とも言える、あの惨状。
別れたあの子。
石化。
あまりにも、この数年間で事が起きすぎた。
死んでも、可笑しくなかったのだ。
再び会えなくても、何も可笑しい事はなかったのだ。
それが、無線越しに、繋がった。
あの子は、生きてる。
南の声を聞き、また此方も人が集まってきた。
大樹、杠、仁姫、ほむら、マグマ。
かつての仲間達が、一堂に会する。
無線越しに、全員が、集まった。
｢…A。｣
千空が、未だ涙を流すAへ、優しく話しかける。
｢こいつは、まだ繋がってるか？｣
Aは嗚咽をあげながらも、頷いた。
｢そうか。｣
トン トン トン
確かめるように、打った。
その音に、初めに反応したのは、羽京。
無線の音を聞くために、近くに寄った。
ああ、向こうも、同じかな。
何となく、分かる。
これは違う。
とすると、人が集まっている。
《聞こえているよ。》
《全員いるか？》
《ああ。》
ちょうどいいじゃねえか。
《俺達は、これからコンピューターを作る。》
《起きて早々だが、仕事だ。》
《とんでもない数、繋ぐぞ。》
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作者名：Jane Doe | 作成日時：2023年8月16日 0時
