story-27.＊ ページ28
………………
増田「え？」
A「あ、心の声が漏れた(笑)」
増田「いや、漏れすぎでしょ(笑)」
A「わたしね、手小さいんだー。おっきいの羨ましい。」
自分の身長とは少し不釣り合いの小さい手を眺め、ほら、と手のひらを運転席へ向ける。
まっすーは、自分の手とわたしの手をちらっと交互に見た後に、あ〜。なるほどっといわんばかりの顔をした。
増田「でもさ、女の子は小さい方がかわい〜ってなって良かったりするんじゃないの？」
A「えー。だって、なんか悔しくない？どうせならおっきい方がいいよ。」
増田「そこに負けず嫌いいるの？(笑)」
A「まっすーは良い手だから分かんないんだよ〜」
ダウンの中に自分の手を引っ込ませ、わざと拗ねてみせる。
増田「良い手ってなんだよ。(笑)あっ、着いた着いた。ここの店。」
そう言って手慣れた様に駐車場に車を滑り込ませる。
A「運転ありがとー。荷物、置いていっていい？」
増田「うん？いいよ。貴重品は持って行ってね」
丁寧な言い方が、まっすーの人柄を表してるようで、妙におかしかった。
A「うん(笑)」
増田「なんだよ(笑)」
A「なんでもない(笑)」
わたしの返事に不服そうな顔をして、ポケットに手を突っ込みながら少し猫背気味に歩いていくまっすーの後ろをついて行く。
裏口らしきところから、まっすーが店内に顔をのぞかせると、中から『おっ！いらっしゃい！まってたよ！』と返事がする。
増田「こんにちわ〜。大将、2階いいっすか？」
『席とってるよー！あがってあがってー！』
増田「元気だなぁ。(笑)じゃ、はいろっか。」
誘導されて入った店内は、食欲をそそる油の匂いや香辛料の匂いが充満していて、スポーツ後の空腹をこれでもかと刺激して思わずよだれがでそうになる。
"大将"と呼ばれた男性に会釈すると
『いらっしゃい！』とイキのいい声と人が良さそうな丸い笑顔が返ってきて、きっとわたしもこのお店を好きになるだろうなって思った。
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作者名：prco | 作成日時：2018年2月7日 23時
