color～いろとりどり (ページ19)

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story-18.＊増田side ページ19

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増田side

「わたし、取って来ますよ！先に行っててください。」

スライディング女子は、背負われた手越のふくらはぎを押さえていた手を離すとくるっと向きを変えてコートに走っていった。

それと入れ替わるように、フットサルのスタッフが手越に声をかける。

スタッフ「手越さん、すいませんでした…。」

手越「いやいや、なんで謝んの？気にしないでね？スポーツにけがなんかつきものだし！あ、それに、今日は運良く、運転手もいたし！」

あはは！っと手越が笑うとスタッフの表情が少しやわらいだ。

スタッフ「じゃあ…ちゃんと病院行って診てもらってください。」

手越「うん！この人が道間違えなかったら大丈夫ー！じゃあね！ばいばーい」

俺のことを運転手呼びしたこととか、地味にdisってくるところはツッコミたいけど、手越のこういう気遣いができるところとか周りを笑顔にさせるところは見習いたいと思う。

「手越くんっ。リュックと、ダウンと、サンダルでよかった？」

少し息の上がった声が俺たちの隣に寄り添った。

ちらっと視線を向けると、自分と手越の2人分の荷物を抱えて手いっぱいになったスライディング女子の姿。

手越「うん、ありがと。ふくらはぎちゃんの近くに荷物置いといてよかった。」

「うん…」

そう言って、ふくらはぎの氷に右手を添えたあと、スマホに視線を落とし、ふぅっと、息を吐き、ふくらはぎに視線を戻す。

相変わらず、手越のふくらはぎにしか興味ないらしい。ふくらはぎフェチ？あ、だからふくらはぎちゃん？

なんて考えていると、俺の車を停めている位置まで来た。

助手席のドアの前に立つと、くいっと上着の裾を引っ張られる。

「あのっ。足伸ばせるので、後部座席乗せてあげてください」

また、じっと俺を見つめて言う。

増田「じゃあ、ちょっとドア開けてもらっていい？」

手越を背負ったまま、上着のポケットから車の鍵を取り出し、リモコンでピピッと鍵を開ける。